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従業員のメンタル不調未然防止を目的としてストレスチェック制度を実施する事業場では、一定の条件を満たす場合、ストレスチェック助成金により費用の助成を受けることができます。
今回は、小規模事業場向けのストレスチェック助成金の概要と必要書類、申請の流れなどをわかりやすく解説します。
目次
ストレスチェック助成金とは
ストレスチェック助成金とは、正式名称を「「ストレスチェック」実施促進のための助成金」といい、ストレスチェック制度の実施が努力義務である従業員50人未満の事業場がストレスチェック制度を実施し、産業医面談などを実施した場合に費用の助成を受けられる制度です。
ストレスチェック助成金は、独立行政法人労働者健康安全機構が主体となり、厚生労働省の産業保健活動総合支援事業の一環として行っています。
ストレスチェック助成金の対象となる要件は以下の通りです。
ストレスチェック助成金の対象となる要件
ストレスチェック助成金を受けるためには、①事業場の要件、②取り組みの要件の両方を満たしている必要があります。
・ 労働者を雇用している法人・個人事業主
・ 労働保険の適用事業場
・ 常時使用する従業員が派遣労働者を含めて50人未満
② 以下すべてを満たす取り組み
・ ストレスチェックの実施者が決まっている
・ 医師と契約を締結し、産業医面談などを行う体制が整備されている
・ ストレスチェック制度の実施者などは、自社の使用者・労働者以外の者
助成の対象となる費用
ストレスチェック助成金では、次の2つの費用が助成の対象です。
(1)ストレスチェック制度の実施費用
年1回のストレスチェック制度を実施した場合に、実施人数分の費用が助成されます。
(2)ストレスチェック制度に係る医師の活動
ストレスチェック制度での産業医面談など、医師による活動について実施回数分の費用が助成されます。
助成金の額(上限)
ストレスチェック助成金には上限額が設けられています。
(1)ストレスチェック制度の実施費用
1従業員につき、税込み500円まで
(2)ストレスチェック制度に係る医師の活動
1事業場あたり1回の活動につき税込み21,500円まで、3回が上限
また、ストレスチェック制度に係る実費額が上限額を下回る場合には、実費額(税込)が助成金として支給されます。
ストレスチェック制度の助成金申請に必要な書類
ストレスチェック助成金を受けるためには、以下の書類が必要です。
・ 提出が必要な書類
① ストレスチェック助成金支給申請書(様式第 1 号)
・ 添付書類として準備が必要なもの
① 医師との契約書(コピー)
② 医師であることを証明する書類(医師免許証等)(コピー)
③ ストレスチェック実施者の要件を備えていることを証明する書類(コピー)
※ ②と異なる証明書が必要な場合のみ提出
④ ストレスチェック実施報告書(様式第2号)
⑤ ストレスチェックに係る医師による活動報告書(様式第3号)
※ 「ストレスチェックに係る医師による活動」を行った場合のみ提出
⑥ ストレスチェック実施者へ支払った費用の領収書(コピー)
※ 銀行振込の「振込明細書」は不可
⑦ 医師へ支払った費用の領収書(コピー)
※ 銀行振込の「振込明細書」は不可
⑧ 労働保険概算・確定保険料申告書等(コピー)
⑨ 労働保険料一括納付に係る証明書
※ 本社等が労働保険料を一括納付している場合のみ提出
⑩ 振込先の通帳コピーなど (振込先の名義、支店名、口座番号が確認できるもの)
※ 口座名義が様式第1号の請求者と別会社の場合は受付不可
⑪ 支給要件確認申立書(様式第4号)
⑫ ストレスチェック助成金支給申請チェックリスト兼同意書(様式第5号)
⑬ 事業場宛ての返信用封筒(84円切手貼付)
各様式のフォーマット、チェックリストは、独立行政法人労働者健康安全機構のホームページからダウンロードできます。
労働者健康安全機構「Ⅱ 申請様式とチェックリストのダウンロード」
また記入例は、こちらからご覧ください。
労働者健康安全機構「令和3年度版「ストレスチェック」実施促進のための助成金の手引」(PDF)
ストレスチェック助成金の申請手続き
ストレスチェック助成金を受けるために必要な申請手続きの流れは以下の通りです。
① ストレスチェックの実施について審議
ストレスチェックの実施について、医師からの助言、労使での審議、従業員への説明・情報提供などを行います
② 「ストレスチェックに係る医師による活動」の契約締結
医師と「ストレスチェックに係る医師による活動」(ストレスチェック実施後の面接指導、面接指導の結果に係る意見陳述)の全部、または一部を行わせる契約を締結します
③ ストレスチェックの実施
医師または保健師を実施者として、ストレスチェックを実施し、従業員へ個人結果を通知します
④ ストレスチェックに係る面接指導などの実施
ストレスチェック実施後、高ストレスと判定された従業員からの申し出があった場合、産業医による面接指導などを行います
⑤ ストレスチェック助成金支給申請
必要な書類を揃えて、ストレスチェック助成金の支給申請を「独立行政法人労働者健康安全機構 勤労者医療・産業保健部 産業保健業務指導課」に行います
⑥ 助成金支給決定通知の受取、助成金受領
労働者健康安全機構から支給決定通知が届き、助成金が支払われます

(出所:労働者健康安全機構「令和3年度版「ストレスチェック」実施促進のための助成金の手引」)
ストレスチェック以外の産業保健関係助成金
ストレスチェック助成金の主体である独立行政法人労働者健康安全機構では、産業保健関係の助成金として、ストレスチェック助成金以外に、「職場環境改善計画助成金」「心の健康づくり計画助成金」「小規模事業場産業医活動助成金」なども行っています。
職場環境改善計画助成金とは
「職場環境改善計画助成金」とは、ストレスチェック実施後の集団分析結果を踏まえて、専門家による指導に基づき、職場環境改善計画を作成し、計画に基づき職場環境の改善を実施した場合に負担した指導費用の助成を受けることができる制度です。
事業場コースと建設現場コースがあります。
心の健康づくり計画助成金とは
「心の健康づくり計画助成金」は、事業主の方が各都道府県にある産業保健総合支援センターのメンタルヘルス対策促進員の助言・支援に基づき心の健康づくり計画を作成し、計画を踏まえメンタルヘルス対策を実施した場合に助成を受けることができる制度です。
「労働者数50人未満の小規模事業場」や「保有するすべての事業場の労働者数が 50人未満の企業」は、心の健康づくり計画の代わりに「ストレスチェック実施計画」を策定し、ストレスチェックを実施した場合も助成の対象になります。
小規模事業場産業医活動助成金とは
「小規模事業場産業医活動助成金」は、労働者数50人未満の小規模事業者を対象とした助成金で、産業医コース、保健師コース、直接健康相談環境整備コースがあります。
このうち、産業医コースは、産業医と契約を締結し、実際に産業医活動が行われた場合に実費が助成されます。
また、保健師コースは、保健師と契約を締結し、実際に産業保健活動が行われた場合に実費が助成されます。
直接健康相談環境整備コースは、産業医と契約、または保健師と契約をし、産業医や保健師に労働者が直接健康相談できる環境を整備した場合に助成されます。
まとめ
今回は、ストレスチェック助成金の概要や流れについてわかりやすく解説しました。
ストレスチェック助成金の申請は、ストレスチェック実施後6ヶ月以内に申請してくだい。
支給決定および振込みまでは短い場合2~3か月、長い場合6か月程度の期間を要します。
また、2021年度の申請期間は、2022年6月30日までです。(消印有効)
ドクタートラストでは、小規模事業場さまにもストレスチェックサービスを提供しています。
「ストレスチェック助成金」を活用しての実施にももちろん対応しています。
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