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休職中の従業員が復帰する際、従業員は「復職するのが気まずい…」「復帰がこわいな…」という想いに染まる傾向があります。
なぜ、そのような気持ちになるのでしょうか。
この記事では、休職からの復帰を気まずいと感じる従業員に対して、企業としてどんな取り組みができるのか、産業医面談などを精神保健福祉士がわかりやすく解説します。
目次
休職からの復帰が気まずい…。不安を取り除く配慮を
休職から復帰する従業員に対しては、不安を取り除く配慮が必要です。
まずは、従業員がなぜ気まずいと感じるのか、その気持ちを想像してみましょう。
人間は社会性のある動物ですので、集団から距離を置くということ自体に特別な想いを抱くものです。
責任感の強い方であれば他者へ仕事を任せている負い目などもあり、なおのこと後ろめたさを感じやすいものでしょう。
さまざまな不安や気まずさを抱えていますので、まずは当該従業員がどのような想いで過ごしているのかということを聴いたり、想像したりしてみましょう。
本人の話を遮らず、最後まで聞き入れる姿勢が大切ですね。
復帰する従業員本人の気持ちを想像した後は、自分が同様の立場であればどのような配慮がほしいか考えてみましょう。
復職への不安や緊張を和らげるために、自分であれば周囲にどのような関わりを求めると思いますか。
想像力を働かせながら休職者の気持ちに向き合うことが、その不安を和らげる助けになります。
休職から復帰のタイミングはどう判断すべき?
休職者が復帰するタイミングを、本人や上司、人事担当者などの価値観だけで検討することはおすすめできません。
以下の視点を大切にしながら、その時期を見定めましょう。
休職期間
休職開始時には、回復までの大まかな見立てを行ったうえで休職期間を定めるのが一般的ですが、休職期間は復帰のタイミングでも判断材料の一つとなります。
とはいえメンタルヘルスに関わる問題は、「●●病であれば、▲▲日間の治療で改善する」などの共通した見立てはありませんので、個に応じた対応が求められます。
休職開始時の見立てを参照しながら本人の回復具合を観察してみましょう。
加えて、本人の意向を確認することも大切ですね。
主治医の診断書
休職者が復帰するタイミングを見定めるために、主治医の見解は欠かせません。
主治医の話には、病状の推移、服薬状況など医学的な根拠のある内容が満載です。
本人が「大丈夫だ」と思っていても主治医が制御することは珍しくありませんので、冷静に主治医の見解を得ることが大切です。
企業が休職者の主治医の意見を確認するために必要となるのが、診断書です。
診断書は主治医の見解を得るためのツールですので、診断書取得そのものが目的にならないよう、主旨を理解したうえで対応しましょう。
産業医との面談
休職者が復帰するタイミングは、主治医の診断書だけで判断するのではなく、産業医面談を行うことも大切です。
産業医は、病状に焦点を当てる主治医とは異なり、体調と業務とのバランスを考える立場にあります。
時には、主治医と業務に対する見解が異なることもあるでしょう。
互いの立場の違いから起こりえることですので、双方の意見を参照しながら復職の是非を検討する姿勢が有効です。
産業医が行う復職面談とは
仕事というものは、不調の有無に関わらず「最低限、●●という業務ができなければ、■■という評価や処遇などを検討することはできない」という基準、つまり「枠組み」があるのではないでしょうか。
復職は、その「枠組み」を念頭に置いて計画されます。
日常の生活ができるようになったとしても、その「枠組み」に耐えることが難しいこともあります。
産業医が行う復職面談では、その「枠組み」と休職者の体調とのバランスを確認します。
主治医が考えた「復職」は、企業が考える「枠組み」を想定しない中での判断であることも珍しくありません。
産業医と主治医では、休職者の体調を観察する視点が異なりますので、産業医の視点を用いることで現場の「枠組み」を想定した判断を得る機会となります。
復帰が決まった社員へ配慮すべきこと
復職を検討する際は、産業医面談の結果をふまえ、休職者が復帰に際して気まずい思いをしないよう、どのようなことに配慮が必要かという視点を大切にしましょう。
配慮すべき点には次のような例が挙げられます。
慣らし勤務や時短勤務など働き方への配慮
休職者は、復職してすぐフルタイムに戻れないことも珍しくありません。
たとえば、皆さんも数日仕事を休んだ後は本調子になるまで時間が必要ですよね。
休職者の復帰も同様です。
業務負荷や、元の勤務に戻るまでの期間など、その方にとって必要な時間があるものです。
産業医の意見を参照しながら、職場に通う練習を行う、時短勤務から再開するなど、本人に適した復帰の流れを整えることが理想的です。
復帰の挨拶で気まずい思いをさせない配慮
休職者が復帰する際、社内でその事が噂話となって回る、復帰する日には手土産を持って挨拶回りをするなど、一大イベントとなっていませんか。これは本人の負担になります。
このような事態が起こるのは、ひとえに従業員が事前に正しい情報を知らないためでもあります。
少なくとも、復職者と一緒に働く人には適切な情報共有を行い、復職者を特別視しないための指導を行うなどすると、適度な距離感が保たれるかもしれません。
継続した通院や残業禁止など再発防止への配慮
休職から復帰した従業員が安定して働くためには、通院や業務調整の継続が欠かせません。
前者に関しては、産業保健スタッフなどが関わりながら、受診状況を適宜把握できるよう配慮しましょう。
後者に関しては、「●●か月配慮したら、もういいだろう」と、周囲の人の個人的な判断で決断せず、産業医や主治医、産業保健スタッフの意見を取り入れながら、本人の体力に適した対応を続けることが望ましいものです。
まとめ
休職者との関わり、連絡の取り方など、休職した人への対応は配慮の必要なことが多く、頭を悩ませてしまうものですよね。
「さんぽみち」を運営するドクタートラストでは、休職者向けサービス「アンリケア」を設けております。
本人へのカウンセリングはもちろん、産業医や企業担当者様、主治医などと広く連携を取りながら、一日も早く安定した職場復帰ができるようお手伝いをしております。
些細なことでも構いませんので、お問い合わせお待ちしております。