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ストレスチェック メンタルヘルス

50人未満のストレスチェック義務化に向けた準備とは?2028年4月1日までに対応すべきこと

2028年4月1日、ストレスチェックの実施義務が50人未満の事業場にも拡大されます。「義務化の事実は知っているものの、何から手をつければいいかわからない」というような実務担当者さま向けに、小規模事業場が実務上で整えるべき準備を順を追って解説します。

法改正の詳細な経緯については以下の記事で解説しています。

ストレスチェックとは?なぜ必要なのか

ストレスチェックとは、働く人の心理的ストレスの状態を定期的に確認する制度です。
国が定めた「職業性ストレス簡易調査票(57項目)」などを用いて、従業員が自身のストレス状況を把握し、必要に応じて医師の面接指導を受けることができます。

制度の第一の目的は、従業員自身がストレスへの気づきを得てセルフケアにつなげることです。
メンタル不調の早期発見や職場環境の改善はその延長線上にあります。

小規模事業場では日常的なコミュニケーションが密な分、かえってストレスに気づきにくい傾向があります。
また、少人数であるがゆえに結果から個人が特定されやすいというプライバシー上の課題も生じやすいです。
こうした特有の難しさを踏まえた上で準備を進めることが重要です。

義務化の背景と今後の流れ

2025年5月に改正労働安全衛生法が成立し、50人未満の事業場へのストレスチェック義務化が決定しました。
施行日は2028年4月1日です。法改正の詳細な経緯やスケジュールは以下の記事で解説しています。

準備を進める上で参考になるのが、2026年2月に厚生労働省が公表した「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」です。
外部委託の推奨や実施体制の整備、プライバシー保護のルールなどが具体的に示されており、実務上の指針として活用できます。

義務化されたら何をすればいい?|対応ステップ

ストレスチェックの実施には、以下のような準備が必要です。

1. 実施体制の整備

ストレスチェックを実施するには、実施者と実施事務従事者を選任する必要があります。
実施者になれるのは、医師、保健師、一定の研修を修了した看護師や精神保健福祉士などです。
また、実施事務従事者については、結果を通じて人事評価に影響が出ることを防ぐため人事権を持つ立場の人物は選任できません。
社内に適任者がいない場合は、外部委託によってこれらをまとめて任せることができます。

2. 質問票の準備

厚労省が推奨する職業性ストレス簡易調査票(57項目)が基本です。
ハラスメントやワーク・エンゲイジメントに関する設問を加えた80項目版も普及しており、自社の課題に応じて選択できます。

3. 従業員への説明と個人情報の取り扱いの周知

実施前に、制度の目的と個人情報の取り扱いについて従業員に丁寧に説明する必要があります。
特に重要なのは、ストレスチェックの結果は本人にのみ通知されるという点です。
事業者が個人の結果を見ることは法令上認められておらず、この点を従業員に周知しておくことが受検率の向上にもつながります。

4. ストレスチェックの実施・集計

Webまたはマークシートで実施できます。
高ストレス者の判定は数値基準に基づいて行われ、判定結果は本人に通知されます。

5. 高ストレス者へのフォロー

高ストレス者と判定された従業員が面接指導を希望した場合、事業者は医師による面接指導を実施する義務があります。
産業医がいない50人未満の事業場では、地域産業保健センターが無料で面接指導に対応しています。
ただ、地域産業保健センターは年に2回という利用制限があるなどの制約があります。

6. 職場全体の分析・改善

集団分析は努力義務であり、実施しなくても罰則はありません。
ただし、部署や職場単位でストレスの傾向を把握できるため、職場環境改善の根拠データとして活用できます。

小規模事業者が導入するメリット

義務化への対応という側面だけでなく、組織の健全性を高めるきっかけとしても活用できます。

メンタル不調の兆候を早期に把握できれば、休職や離職の未然防止につながります。
少人数の事業場では一人の離職が職場全体に与える影響が大きいため、この点は特に重要です。
また、集団分析の結果を職場環境の改善に活用することで、データに基づいた具体的な対策が取りやすくなります。
従業員にとっても、健康に配慮している職場という安心感は、エンゲイジメントや定着率にプラスに働きます。

外部委託を活用する場合の選び方

50人未満の事業場では産業医の選任義務がなく、実施体制を社内だけで整えることが難しいケースが多いです。
厚労省の実施マニュアルでも、小規模事業場では外部委託が原則として推奨されています。

委託先を選ぶ際に確認しておきたいポイントは以下です。

  • プライバシーマークを取得しているか
  • 小規模事業場への対応実績があるか
  • 実施者代行まで対応しているか
  • 基本料金に含まれるサービスの範囲が明確か

費用面が不安な場合は、地域産業保健センターの無料支援も選択肢になります。
地域産業保健センターと外部委託サービスと組み合わせてコストを抑えた運用も可能です。

▶「ストレスチェック50」特設サイト https://www.stresscheck-dt.jp/sc50/

よくある質問(Q&A)

Q1. 実施者は誰に頼めばよいですか?

実施者になれるのは、医師、保健師、一定の研修を修了した看護師や精神保健福祉士などです。社内に該当する人材がいない場合は、外部委託サービスに実施者代行を依頼するのが現実的です。

Q2. ストレスチェックの結果は会社に筒抜けになりませんか?

なりません。結果は原則として本人にのみ通知され、事業者が個人の結果を見ることは法令上認められていません。従業員への説明時にこの点を丁寧に伝えることが、受検率の向上につながります。

Q3. パート・アルバイトも対象になりますか?

1週間の所定労働時間が通常の労働者の4分の3以上あるパート・アルバイトは対象となります。労働時間が短い場合は義務の対象外ですが、職場のメンタルヘルス対策として対象を広げることは有効です。

Q4. 高ストレス者が出たらどうすればよいですか?

本人が面接指導を希望した場合、事業者は医師による面接指導を実施する義務があります。産業医がいない事業場では、地域産業保健センターが無料で対応しています。

Q5. 社内だけで対応するのが難しそうです。

厚労省の実施マニュアルでも、小規模事業場では外部委託が原則として推奨されています。実施者代行・集計・結果通知までをまとめて任せられるサービスを活用することで、担当者の負担を大幅に抑えられます。

Q6. 費用はどのくらいかかりますか?

外部委託の場合、従業員1人あたり数百円〜1,000円程度が相場です。地域産業保健センターの無料支援と組み合わせることでコストを抑えた運用も可能です。まずは複数社に見積もりを取って比較することをおすすめします。

2028年の施行に向けて今から準備をはじめよう

2028年4月1日にすべての事業場でストレスチェックが義務化されます。
小規模事業場にとって準備の優先順位は、まず実施体制をどう整えるかを決めること、次に外部委託先の選定と費用の確保、そして従業員への周知です。
完璧な体制を一度に整える必要はありませんが、実施者の選任や委託先の検討は時間がかかるため、早めに動いておくことをおすすめします。

法改正の詳細な経緯やスケジュールは以下の記事で解説しています。

<参考>
・厚生労働省「第185回労働政策審議会安全衛生分科会(資料)」