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【精神保健福祉士執筆】長時間労働者には産業医による面接指導が必要!流れや進め方を解説

長時間労働者には産業医による面接指導が必要!流れや進め方を解説

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長時間労働により疲労が蓄積すると、健康障害やメンタルヘルス不調のリスクが高まります。
そのため、1ヶ月80時間以上の時間外労働を行い、疲労の蓄積が認められる従業員からの申し出があった場合は、産業医による面接指導を受けさせる必要があるのです。

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そこで今回は、長時間労働者に対する産業医の面接指導について、趣旨や流れを具体的に解説します。

長時間労働者に産業医の面接指導が必要な理由

長時間労働によって疲労が蓄積されると、健康障害やメンタルヘルス不調を引き起こすリスクが高まります。
たとえば長時間労働との関係が深い疾患に、脳や心臓の病があります。
日本における従来の労働環境では、それらに罹患し労災認定された方が少なくありません。

長時間労働者への産業医面談は、そのような時代を繰り返さないための予防策として設けられました。
産業医が長時間労働者と面談をすることで、医師からの専門的な見解を得ることができ、問題が認められる際には企業として必要な措置を実施する契機とします。
産業医から職場環境改善などの指導を受けた場合も、「昔は24時間働いた」「自分は多少残業を続けてもへこたれない」など、自分の基準は横に置き、国の定めとして準じることが望ましいですね。
なお、従業員本人は疲労を溜めていても評価や人の目を気にして報告を控えてしまうことが珍しくありません。
長時間労働という条件を一様に保つことで、従業員にとっても早めにアラートを鳴らす助けとなるでしょう。
産業医の面接指導実施により改善した例、産業医面談を拒否したことで健康状態の悪化が見られた例など、こちらの厚生労働省のサイトで学ぶことができます。

厚生労働省「医師による長時間労働面接指導実施マニュアル(PDF)」

産業医による長時間労働者への面接指導の流れ・進め方

厚生労働省より、産業医による長時間労働者への面接指導の流れが公開されています。
そこで続いては、産業医が長時間労働者と面談をするときの流れや進め方を紹介します。内容を一つひとつ確認してみましょう。

会社から長時間労働者へ労働時間に関する情報の通知

長時間労働になっていることに、当の本人は気づかないことが珍しくありません。
一心に業務を続けているとどうしても自己管理が後手に回ってしまうため、時間外労働や休日労働が一定数以上の従業員には、企業よりその旨を知らせ、業務過多になっている現状に気づいてもらうことは有意義な試みです。

会社から産業医に長時間労働者に係る情報の提供

多くの産業医は事業場に常駐しませんので、従業員の誰が長時間労働者となっているのかが把握できないものです。
産業医が長時間労働者へ面接を行うためには企業より該当者を産業医へ通知し、状況を共有することで、企業と産業医双方の共通の理解が得られます。

産業医による面接指導の申出の勧奨

長時間労働者となった従業員へは、産業医から面接申出を勧奨することができます。
「長時間労働者への面接指導チェックリスト(医師用)」を企業から受け取り、それをもとに産業医より当該従業員へ働きかける試みです。
勧奨の方法としては、書面やメールなどが考えられます。

長時間労働者から会社への面接指導の申出

長時間労働者への産業医面談は、当該従業員から企業へ面接指導の申出を行うことで実施されます。
従業員の意思により指導を受けますので、企業としては、従業員に面接を申し出てもらえるよう動機づけを図ることが求められます。

長時間労働者への産業医による面接指導の実施

長時間労働者に対する産業医の面接指導では、次のような点を注意深く確認し、助言します。
本人にとっては大きな問題ではないかもしれませんが、産業医の専門的な視点を持って観察することで、本人が自覚しない異変を早めに察知する契機となります。

<産業医面談で観察、助言すること>
● 当該従業員の勤務状況や疲労蓄積の程度
● 当該従業員のメンタルヘルスの様子
● それらに基づいた適切な指導

会社から産業医へ面接指導の結果について意見徴収

産業医による長時間労働者の面接が行われた後は、企業が取り組まなければならない措置について、産業医の意見を聴く義務があります。
当該従業員の健康を保持するためだけではなく、職場の問題を把握する好機でもありますね。

さらに、産業医面談では面接指導等の記録を作成し、企業が責任をもって5年間保存しなければなりません。
企業として、個人情報を厳重に扱う姿勢も求められます。

事業場から長時間労働者へ事後措置の実施

前段で得られた産業医の助言などを参考に、当該従業員にとって適切な措置を企業が講じなければなりません。
メンタルヘルス不調が確認された際には、適宜精神科医と連携を図ることが望ましいでしょう。
加えて、その件を理由に従業員に対して不利益な取り扱いをすることは禁止されていますので、誠意のある慎重な取り組みが欠かせません。

産業医による長時間労働者への面接指導についてよくある疑問

産業医による長時間労働者への面接を行うに当たり、種々の疑問が生まれるものではないでしょうか。
ここからは、長時間労働者への産業医面談について、いくつかの視点から疑問にお答えします。

どこからが長時間労働にあたる?

長時間労働の目安は、次の2種です。
それぞれ産業医面談の必要性が異なりますので、対応の違いを把握しましょう。

1)時間外・休日労働時間がひと月、45時間以上

産業医が必要と認めた方に面接指導を講じることが望ましいとされています。

2)時間外・休日労働時間がひと月、80時間以上

申し出があった場合、対象となる人全員に面接指導が行われます。
企業は当該従業員を取り巻く作業環境や労働時間等を細やかに確認のうえ、産業医へ情報提供します。

長時間労働者への面接指導は強制できる?

長時間労働者への面接指導は、本人が申出を行った際は実施する義務が発生しますが、企業が強制的に受けさせることはできません。
面接に拒否的な従業員には、残業時間が過多であることや、面接を受ける意義、面談を受けることで不利益はないことを説明し、本人の理解を促すことが望ましいものです。

従業員は個人情報の取扱いに慎重になるものですので、そのような心境を理解しながら対応すると、理想的な結果が得られるでしょう。

長時間労働者が産業医面談を拒否したらどうなる?

長時間労働者が産業医面談を拒否したからと言って、それを強制することも、罰することももちろんできません。
産業医は時期を問わず面談を受けることができる制度のため、従業員が希望した際に改めて対応できる旨を伝え、引き続き関わりを続けることが好ましいでしょう。
本人の同意が得られれば、働く人のための疲労蓄積度事故診断チェックリストだけでも受検してもらうと現状把握の助けになるかもしれません。

参考:厚生労働省「労働者の疲労蓄積度チェックリスト(PDF)」

まとめ

今回は、長時間労働者に対する産業医の面接指導について紹介しました。
産業医など各種制度は、細かく、難しいしくみですし、個人情報の扱いなど概念的な学びも欠かせません。
各制度の手引きを自己解釈してしまうことで誤った解釈に至ることもありますので、適宜、専門スタッフと情報共有することが求められます。
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