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メンタルヘルス 産業医

産業医によるメンタルヘルス面談|種類・流れ・企業対応を解説

厚生労働省が2025年8月7日に公表した「令和6年 労働安全衛生調査(実態調査)」によると、仕事や職業生活に関して「強い不安、悩み、ストレスと感じる事柄がある」と答えた労働者は68.3%にのぼります。
それにもかかわらず、産業医によるメンタルヘルス面談の仕組みが社内でうまく機能していない企業は少なくありません。

この記事では、人事・労務担当者向けに、産業医が行うメンタルヘルス面談の種類・流れ・企業側の対応を整理します。
精神科医との役割分担、改正労働安全衛生法(50人未満事業場は2028年4月1日施行)まで、実務でそのまま使える内容としてご確認ください。

従業員のメンタルヘルス不調と企業への影響

働き方改革や社会環境の変化により、従業員のメンタルヘルスへの関心は急速に高まっています。
前述の通り、強い不安・悩み・ストレスを感じる労働者は68.3%にのぼり、職場での精神的負担は軽視できない問題です。

メンタルヘルス不調は個人の問題にとどまりません。休職・離職リスクの上昇、生産性やチームワークの低下、さらには企業の社会的評価の低下にもつながるため、企業としての対策が不可欠です。

産業医の役割と、精神科医との違い

産業医は労働安全衛生法に基づき選任される、労働者の健康を守る専門医です。常時50人以上の労働者を使用する事業場では選任が義務づけられており、メンタルヘルス面談においても刑法・労働安全衛生法上の守秘義務が定められています。

産業医は(1)早期の気づき、(2)休職・復職支援、(3)就業上の配慮提案、(4)職場環境の改善助言の4軸で、企業と連携しながら従業員を支えます。
ここで担当者が整理しておきたいのが、精神科医との役割分担です。両者は対立する存在ではなく、専門性の違いを理解したうえで連携する関係にあります。

産業医は職場環境との関わりに焦点をあて、就業可否の判断や就業上の配慮を提案します(診断・治療は通常行いません)。
一方、精神科医は診断・治療の専門家として、医療機関で治療行為を担います。

面談の4つの種類

産業医が行うメンタルヘルス面談は、実施タイミングによって主に4種類に整理できます。自社で該当する従業員像と照らし合わせ、どの面談が必要かを確認しましょう。

01

高ストレス者面接指導

ストレスチェックで高ストレスと判定され、本人が面接指導を希望した場合に事業者の実施義務が生じる。集団分析と組み合わせれば職場単位の改善にもつながる。

02

長時間労働者への面接指導

時間外・休日労働が月80時間超で疲労蓄積が認められ、本人から申し出があった場合に事業者の実施義務が生じる(安衛法第66条の8)。

03

本人からの相談・申し出面談

不調を感じた本人が直接申し出て受けられる。疾病性が明確でない段階でも対応可能で、精神科受診を迷う際の一次相談として機能する。

04

休職・復職時の面談

主治医の診断書に加え、職場情報を熟知する産業医の意見書が、就業上の配置・配慮の根拠資料になる。

面談の流れ(5ステップ)

対象者の選定から記録保管までを一連の流れとして設計しておくと、担当者ごとの対応のばらつきを抑えられます。

1

対象者の選定と案内

ストレスチェック結果、長時間労働データ、本人からの申し出をもとに対象者を絞り込み、目的・所要時間・個人情報の扱いを明記した案内文を送付する。

2

日程調整・場所の確保

個室または準ずる場所を確保し、必ず業務時間内に組み込む。

3

面談の実施

原則として本人のみの環境で実施し、人事は同席しない。一定の条件下でオンライン実施も可能。

4

意見書の発行と就業配慮

産業医は本人の同意範囲に限定して意見書を発行。企業はそれをもとに配置転換・残業制限・通院配慮などの措置を検討し、人事・上司が現場へ落とし込む。

5

記録の保管とフォローアップ

労働安全衛生規則第52条の6に基づき、面接指導の記録は原則5年間保存。次回面談や復職判定の根拠として産業医の管理下で保管する。

面談では産業医に何を話すのか

診断を求める場ではなく、体調・業務負荷・職場環境・生活リズムなど、就業可否を判断するための材料を伝える場です。
伝えたい論点を3点程度に絞っておくと、限られた面談時間を有効に使えます。

  • 直近1か月の残業時間・休日出勤の状況
  • 睡眠・食欲・気分の変化
  • 業務上で感じている負荷や人間関係の問題
  • 治療中の疾患や服薬の有無
  • 職場に希望する配慮(時短・配置転換・通院時間の確保など)

守秘義務と「面談を断られたら」の対応

産業医には秘密を守る義務を負います。
本人の同意なしに診断名や症状の詳細が企業に伝わることはなく、就業措置に必要な範囲(残業制限・配置転換など)のみ、本人の同意のもとで共有されます。
生命や安全に関わる重大なリスクがある場合に限り、最小限の情報が例外的に共有されることがあります。

面談は基本的に本人の同意・協力を前提に実施され、受診を法的に強制する規定はありません。
拒否された場合は、拒否理由を確認したうえで守秘義務の範囲と本人にとってのメリットを文書で改めて説明し、必要に応じ保健師・産業看護職による事前面談を挟みます。
制度上の対象者である場合はその旨を補足し、勧奨日時・通知内容・拒否理由・対応内容は社内記録として残しておきましょう(。

企業側の環境整備(健康経営・制度・教育)

メンタルヘルスは健康経営の重要な柱の一つで、企業の持続的成長には従業員の心身の健康が欠かせません。産業医による個別対応と並行して、次のような土台づくりが求められます。

  • ストレスチェックの実施と、休職・復職に関する明確なガイドラインの策定
  • 長時間労働の是正、パワハラ対策
  • メンタルヘルスの基礎知識・セルフケアを学ぶ研修の導入
  • 管理職向け「ラインケア」など対応力強化研修の実施

面談に強い産業医の選び方

面談の質は、どの産業医と契約するかで大きく左右されます。選定時は次の観点をチェックしましょう。

  • メンタルヘルス面談の実施経験
  • コミュニケーション力と傾聴姿勢
  • 労務・法的知識の有無
  • 面談枠の調整柔軟性(短時間・複数回設定)
  • オンライン面談の対応可否

多くの産業医は外部の医師(嘱託)として契約されていますが、人事・労務との密な連携を深めることで、より実効性のあるメンタルヘルス対応が可能になります。

また「さんぽみち」運営元のドクタートラストでは、全国で産業医紹介サービスを提供しています。
メンタル不調者面談の経験豊富な産業医、ストレスチェックにも対応できる産業医のご紹介など、資料請求・ご相談は無料です。ぜひお気軽にお問合せください。

サービス詳細はこちらをご覧ください
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<参考>
・厚生労働省「令和6年 労働安全衛生調査(実態調査)」

よくある質問(Q&A)

Q1. 従業員のメンタルヘルス不調とは何ですか?

A. 仕事や職業生活に関する強い不安やストレスによって引き起こされる心の健康問題です。厚生労働省「令和6年 労働安全衛生調査」(2025年8月7日公表)によれば、該当する労働者の割合は68.3%にのぼります。休職・離職リスクの上昇のほか、生産性低下やチームワークの悪化にもつながります。

Q2. 産業医の選任義務がある企業の基準は?

A. 常時50人以上の労働者を使用する事業場では、労働安全衛生法により産業医の選任が義務づけられています。改正法により、50人未満の事業場にも2028年4月1日からストレスチェック・高ストレス者面接指導が義務化されます。

Q3. 産業医面談の内容は企業に報告されますか?

A. 原則として、本人の同意なしに詳細な健康情報が企業に開示されることはありません。生命・安全に関わる重大なケースに限り、最小限の情報が共有される場合があります。

Q4. 産業医からの意見書はどう活用すればよいですか?

A. 人事部や上司が意見書をもとに配置転換・残業制限・通院配慮などを調整し、従業員が安心して働ける環境を整えます。これが職場復帰の円滑化や長期的な就業継続につながります。

Q5. 産業医を選ぶ際のポイントは?

A. メンタル対応の経験、コミュニケーション力、労務・法的知識の有無が中心的な判断材料です。多くは外部の嘱託医ですが、人事・労務との連携が深いほど対応の実効性が高まります。