産業医の重要な役割のひとつに、健康相談対応があります。
専門的な知識を持つ産業医が行う健康相談窓口での対応は、労働者の健康を守っていくうえで非常に重要です。
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この記事では、産業医による健康相談を窓口で行うメリットと相談内容について解説します。
目次
産業医による健康相談窓口を設置するメリット
相談窓口は複数用意するのが理想的であり、社内窓口や社外窓口のほかに産業医による相談窓口を設置することは大きなメリットがあります。
守秘義務により安心して相談できる
労働安全衛生法により、産業医は面談などで知り得た情報を漏洩させることを禁じられています。
(健康診断等に関する秘密の保持)
第105条 第65条の2第1項及び第66条第1項から第4項までの規定による健康診断、第66条の8第1項、第66条の8の2第1項及び第66条の8の4第1項の規定による面接指導、第66条の10第1項の規定による検査又は同条第3項の規定による面接指導の実施の事務に従事した者は、その実施に関して知り得た労働者の秘密を漏らしてはならない。
出所:労働安全衛生法
また、刑法での規定も産業医に適用されます。
(秘密漏示)
第134条 医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士、弁護人、公証人又はこれらの職にあった者が、正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
出所:刑法
「相談内容が社内に漏れてしまうかも……」という恐れから相談に踏み切れない労働者も多いため、相談内容が許可なく社内共有されることがないことの周知は、労働者の安心感を生み出し、積極的な相談につながるでしょう。
職場の状況を理解している人に相談できる
事業場で選任している産業医は業務内容に精通しているので、より踏み込んだ相談ができるでしょう。
社外窓口へ相談した場合、相談員が業務内容を理解していないため、的確なアドバイスが受けられないことがあります。
産業医は専門的な知識に加えて、企業の業務内容や職場環境を把握しているので、その労働者に合ったアドバイスが期待できるでしょう。
健康診断結果にもとづくアドバイスがもらえる
産業医による健康相談窓口では、健康診断の結果で気になる結果が出たときに相談が可能です。
再検査や産業医面談が必要なレベルの結果ではなくても、数値の悪化や生活習慣の乱れなど細かな点を産業医へ相談できるので、生活習慣病の予防につながります。
また、詳細な健康診断結果は個人情報なので、外部の機関と共有されることはほとんどありません。
産業医は労働者の健康診断結果を閲覧できるので、より詳細なアドバイスが期待できるでしょう。
病院に行くよりも気軽に相談しやすい
自身の体調に若干の不安を感じていても、「病院にかかるほどではないかも……」と放置してしまいがちです。
しかし、こうした不調を放置していると重大な疾患につながってしまう可能性があります。
社内に産業医による相談窓口を設置することで、労働者は気軽に相談できるので、不調の早期発見と未然予防につながります。
守秘義務の周知やプライベートな相談場所の用意など、労働者が気軽に相談できる環境を整えておくことが重要です。
継続的な健康相談ができる
外部相談窓口を利用した場合、相談する度に相談員が変わるため、その都度自分の状況を説明しなければならず、人によっては苦痛を感じることもあるでしょう。
事業場に選任された産業医による健康相談窓口を設置することで、継続した相談が可能です。
「前回の相談時と比較してどうなっているのか」という視点で相談できるため、相談者としても有益なアドバイスを受けることができます。
産業医の健康相談で話せる内容は?
産業医の健康相談では、自身の健康に関することであればなんでも相談できます。
企業の担当者に相談しにくい場合は、ハラスメントについて相談してもかまいません。
ここでは、産業医の健康相談で特に多い相談内容について解説します。
健康に関する不安や気になること
産業医に相談する内容として最も多いのが自身の健康に関することでしょう。
日々の不摂生は生活習慣病を引き起こして、休職や退職といった結果を招くため、できるだけ早い段階で、健康相談窓口への相談が大切です。
企業は、労働者が気軽に自身の健康状態について相談できるように、健康相談窓口の存在の周知と相談環境の整備を徹底していきましょう。
ストレスや不眠に関する相談
ストレスや不眠に関する相談も産業医への相談が多い事案です。
ストレスや不眠を放置すれば、作業効率が大きく低下するだけでなく、重大な精神疾患を引き起こす恐れもあります。
特にストレスは自分で気づいたとしても対処が難しいため、気づいた段階で産業医などのプロに相談してアドバイスを受けるべきでしょう。
職場環境や職場の人間関係について
職場環境や職場の人間関係についても産業医の健康相談窓口で相談できます。
「人事権のない産業医に相談しても……」と思うかもしれませんが、産業医は事業者に対して意見する権利があります。
産業医が職場環境や人間関係に問題があると認めれば、事業者に対して意見を行うため、改善が期待できるでしょう。
産業医の意見に拘束力はありませんが、事業者が理由なく無視することはできません。
休職のタイミング
体調を立て直すために休職したいという相談も産業医にすることができます。
メンタル不調の場合は周囲がその不調に気がつきにくいため、休職したくても休職の提案が事業者側からない場合があります。
このようなときに備えて、気軽に休職の相談ができるように健康相談窓口の整備をしておきましょう。
企業の健康相談窓口に適した産業医の選びかた
企業の健康相談窓口に適した産業医を選ぶためには、産業医紹介サービスの利用がおすすめです。
健康相談窓口で相談対応する産業医は、労働者と関わる機会が多くなるため、コミュニケーションが円滑にとれる必要があります。
また、さまざまな相談内容に対応するため、豊富な経験を持った産業医を選任したいところです。
しかし、自力でこうした資質を持つ産業医を探すのはほぼ不可能と言っていいでしょう。
「さんぽみち」運営元であるドクタートラストは、業界トップクラスの産業医登録者数を誇り、経験豊富なスタッフが企業の求める条件を丁寧にヒアリングし、最適な産業医選任をお手伝いします。
健康相談窓口に適した産業医の選任に困った際はご相談ください。
EAPサービスの利用がおすすめ
健康相談窓口の設置を検討しているなら、EAPサービスを利用するのもおすすめです。
EAPサービスは「従業員支援プログラム」のことであり、外部の健康相談窓口などがEAPサービスに該当します。
産業医による健康相談窓口の設置は非常に効果的ですが、その分コストもかかってしまうため、EAPサービスの利用はコストの削減につながります。
しかし、EAPサービスは、提供している会社によって相談員のクオリティが大きく異なります。
安さだけで契約したものの健康相談窓口としての機能をまったく果たさず、「安物買いの銭失い」となってしまうことも多いため、慎重に利用する会社を検討しましょう。
「さんぽみち」運営元であるドクタートラストは産業医連携型EAPサービス「アンリ」を提供しています。
アンリでは公認心理師や精神保健福祉士などの国家資格を持つ経験豊富な相談員が健康相談対応を行うため、そのまま心身のケアまで行うことが可能です。
また、本人の希望があれば直ちに産業医と連携が可能なので、緊急を要する相談があった際にも安心です。
出所:ドクタートラスト「外部相談窓口・EAPサービス『アンリ』」
まとめ
今回は、産業医による健康相談窓口についてわかりやすく解説しました。
産業医による健康相談窓口は非常に効果的であり、労働者の将来的な健康リスクを大きく軽減します。
一方で、大きなコストがかかってしまうためEAPサービスの利用を併せて検討していくべきでしょう。
ドクタートラストは、健康相談窓口と連携可能な産業医の紹介やEAPサービスであるアンリなど、企業の産業保健に関わるサービスを包括的に提供しています。
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