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働き方・産業保健

【保健師監修】産業保健師とは?企業における産業保健師の役割や産業医との違いについて

産業保健師ってどんな人?産業保健師の役割や産業医との違い

この記事は6分で読めます

産業保健師とは、企業で従業員の健康管理やメンタルヘルス対策を行う産業保健分野の専門家です。

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今回は、産業保健師の役割や産業医との違いなどをわかりやすく解説します。

産業保健師とは?どんな役割がある?

まずは、企業で働く産業保健師の役割や保健師との違いについて解説します。

産業保健師とは

「産業保健師」とは、民間企業や団体、健康保険組合など産業領域で働いている保健師を指します。
産業保健師は、企業の人事部門や健康管理部門と協力しながら従業員の疾病予防、健康管理を担っており、具体的には定期健康診断の事後フォローや、健康にかかわるさまざまな情報発信などを行うのが役割です。
最近はメンタルヘルス不調者への対応も産業保健師の主たる業務であり、面談のほか復職のサポートなども実施します。

保健師とは

前述の「産業保健師」は、国家資格である「保健師」の働き方の一つです。
保健師とは、保健、医療、福祉、介護などの分野で、乳幼児から高齢者までのすべての住民を対象に必要な保健サービスを行う職業であり、保健師助産師看護師法2条では「厚生労働大臣の免許を受けて、保健師の名称を用いて、保健指導に従事することを業とする者」と定められています。
看護師と似ていますが、看護師はすでに病気やケガをした人に対するケアのスペシャリストであるのに対し、保健師は「病気やケガにならないように予防する」専門家という違いがあります。
また、保健師になるためには看護師の資格を有していることが必須条件です。

保健師の種類

保健師は「どこで働くか」「誰を対象とするか」などの活動領域によっていくつかの種類があります。
「産業保健師」は、企業や健康保険組合で働き、従業員の健康を管理するのが役割の保健師です。
ほかにも、「行政保健師」は市区町村や都道府県、またはそれら自治体の管轄する保健所、保健センターなどの行政機関に務め、地域住民のための健康づくりを支援するという役割があります。
また、「学校保健師」は、大学や専門学校、私立の小中高校に務め、学生や生徒、教職員の健康管理やケガなどの応急処置を行い、「病院保健師」は、病院やクリニックの保健指導室(健診センター)や地域連携室で働き、健康診断を受診する人の保健指導や入院患者の退院調整を行うのが役割です。

産業保健師の仕事内容は?

産業保健師の役割として、近年の健康経営の意識の高まりから、自社の健康課題から新たな施策を考えて実行する「健康増進に向けた企画の立案、啓発活動」や、健康経営銘柄や健康経営優良法人取得を目指して取り組みを考える「健康経営の推進サポート」などが求められるようになっています。
では、産業保健師の具体的な仕事内容にはどんなものがあるのでしょうか。

健康診断結果の整理・分析、保健指導

産業保健師の仕事1つ目は、企業が行う「健康診断」への関与です。
産業保健師の業務は、健診機関の選定や日程などの調整にはじまり、受診後には結果の判定を行うとともに、従業員たちに結果をフィードバックします。
また、このまま就業してよいか、すなわち「就業判定」は産業医が行いますが、就業上の問題がなくとも、放置しておくと将来的に病気にかかる、就業できなくなるおそれのある従業員に対しては産業保健師が面談や保健指導などでフォローしていきます。

(安全)衛生委員会の参加、職場巡視

産業保健師の仕事2つ目は「衛生委員会、または安全衛生委員会」への出席です。
労働安全衛生法上、産業保健師の出席は義務づけられてないものの、保健分野のスペシャリストとしてオブザーバー的に参加してもらい、健康にまつわる講話などを行います。
また、企業内の作業環境を実際に見て回り、安全衛生上の問題点を見つけ、改善していくための「職場巡視」にも同行してもらい、たとえば室内の明るさやVDT環境などを確認してもらい、アドバイスします。

過重労働者の対策

産業保健師の仕事3つ目は「過重労働者対策」です。
月80時間以上残業している場合は、産業医面談の対象となってきますが、過重労働気味で不安な従業員に対しては保健師が面談を行い、生活上のアドバイスなどを行います。

復職支援

産業保健師の仕事4つ目は「復職支援」です。休職中は、生活状況などのヒアリングを行います。
また、復職後に通勤訓練や試し出勤などの過程で、産業保健師が支援・サポートします。

メンタルヘルス対策

産業保健師の仕事5つ目は「メンタルヘルス対策」です。
日ごろから、企業内で従業員向けにセミナーや講演会、勉強会などを行いメンタルヘルス対策にまつわる情報を提供するほか、メンタルヘルス不調者との面談でアドバイスなどを行っていきます。

産業保健師と産業医の違いは?

ここまで産業保健師の仕事内容を見てきましたが、産業医の仕事と似ている点も多いです。
しかし産業医は従業員50人以上の事業場で選任、さらに衛生委員会への出席や職場巡視が法的義務であるのに対して、産業保健師については設置、また衛生委員会への参加や職場巡視の同行に義務はなく、あくまで任意です。
また、行える業務範囲についても、産業医は、従業員への面接指導を行い、医学的見地に基づき、就労判定を実施するのに対し、保健師は面談、アドバイスにとどまります。
加えて、産業医は医師免許を有したうえで、一定の要件を満たすことで得られる資格です。対して、産業保健師は前述のとおり、看護師資格を有したうえで取得できる資格であり、資格取得のための要件が異なります。

企業が産業保健師を採用するメリットは?

産業保健師を企業に導入するメリットはいくつかあります。
最も大きなメリットとしては、きめ細かな健康管理が実現できる点にあります。
産業医が月に1回しか訪問しない事業場の場合、衛生委員会への出席や高ストレス者面談、過重労働者面談などを行うのが精いっぱいで、それ以外の手当が手薄になりがちです。
たとえば、産業医面談を受けるほどではないけれども、メンタル面、体調面に不安を抱えている従業員と産業保健師が面接を行ったり、講話を行ったりなど、産業医だけでは手が届かない分野を産業保健師がフォローすることで、企業の効率的な産業保健体制を確立できます。
また、「産業医面談」には敷居が高く感じられ、二の足を踏む人が多いもの。そういった人たちにとっても、産業保健師は「気軽に相談できる存在」と見えるようです。
さらに、産業保健分野の専門家であることから、企業の担当者、産業医、そして現場をつなぐコーディネーターとしても活躍します。

まとめ

今回は、企業における産業保健師の役割や仕事内容をわかりやすく解説しました。今や、産業保健体制を確立するうえでは、産業保健師は企業にとって不可欠な存在といえるでしょう。
また、大企業では産業保健師が正社員として働いていることも多いですが、中小企業では派遣社員、またはパート、アルバイトなどの雇用形態で、定期訪問するパターンが一般的なようです。
ドクタートラストでは、企業のご要望に合わせて産業保健師を紹介可能です。
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