産業医には常勤の産業医である専属産業医と、非常勤の産業医である嘱託産業医の2種類があります。
そのうち、多くの事業場で選任されているのが非常勤の産業医である嘱託産業医です。
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この記事では、多くの事業場で選任されている嘱託産業医について、専属産業医との違いなどを交えて解説します。
目次
非常勤産業医の嘱託産業医とは?
嘱託産業医とは月に1回~数回事業場に訪れる非常勤の産業医です。
一般的に50人~999人までの事業場で嘱託産業医は選任され、1,000人を超える事業場になると専属産業医の選任が義務となります。
ただし、例外として有害業務を取り扱う事業場では、500人以上から専属産業医を選任する必要があります。
産業医は医師の資格を持っているため、多くの嘱託産業医は病院などで働きながら、企業と業務委託契約を結び産業医活動をしています。
嘱託産業医の業務内容とは?
嘱託産業医の業務内容は労働安全衛生規則にて以下のように定められています。
(産業医及び産業歯科医の職務等)
第14条 法第13条第1項の厚生労働省令で定める事項は、次に掲げる事項で医学に関する専門的知識を必要とするものとする。
1 健康診断の実施及びその結果に基づく労働者の健康を保持するための措置に関すること。
2 法第66条の8第1項、第66条の8の2第1項及び第66条の8の4第1項に規定する面接指導並びに法第66条の9に規定する必要な措置の実施並びにこれらの結果に基づく労働者の健康を保持するための措置に関すること。
3 法第66条の10第1項に規定する心理的な負担の程度を把握するための検査の実施並びに同条第3項に規定する面接指導の実施及びその結果に基づく労働者の健康を保持するための措置に関すること。
4 作業環境の維持管理に関すること。
5 作業の管理に関すること。
6 前各号に掲げるもののほか、労働者の健康管理に関すること。
7 健康教育、健康相談その他労働者の健康の保持増進を図るための措置に関すること。
8 衛生教育に関すること。
9 労働者の健康障害の原因の調査及び再発防止のための措置に関すること。
出所:労働安全衛生規則
具体的には以下の業務を実施します。
・健康診断の事後措置
・保健指導
・(安全)衛生委員会への参加
・ストレスチェックの実施
・高ストレス者への面談
・長時間労働者への面談
・健康教育・労働衛生教育
・情報収集と勧告 など
これらの業務を嘱託産業医は月に数回の訪問中に実施しなくてはいけません。
業務内容が多岐にわたるため、限られた訪問時間では実施できない業務が出てくる場合は、追加訪問や訪問時間の延長などをする必要があります。
嘱託産業医のメリット・デメリットについて
非常勤の産業医である嘱託産業医にはどんなメリットとデメリットがあるのでしょうか。
それぞれ解説します。
嘱託産業医を選任するメリット
嘱託産業医を選任するメリットとしては、コストの低さが挙げられるでしょう。
嘱託産業医は契約によって訪問回数に抑えることが可能なため、コストの調整が容易です。
しかし、産業医の実施すべき業務が行われていないにもかかわらず訪問回数や時間を抑えてしまうと、労災につながる可能性があるため注意が必要です。
もうひとつのメリットとして、選任の自由度があがる点があります。
嘱託産業医と専属産業医を比べると、嘱託産業医の数が圧倒的に多いため、自社にあった産業医を選任しやすくなります。
嘱託産業医を選任するデメリット
嘱託産業医を選任する最大のデメリットは急な対応ができない点にあるでしょう。
労働者の急な不調が起こっても、嘱託産業医は病院などに勤務している場合が多いため、急に対応することはできません。
産業医にもよりますが、事前に決められた訪問日以外に追加訪問をお願いする場合、スケジュールを合わせるのに苦労することが多いかもしれません。
また、最初に契約を結ぶ際にも、現在勤務している病院の休みなどの関係で、訪問日が限定される場合が多いでしょう。
嘱託産業医と専属産業医の違いについて
非常勤の産業医である嘱託産業医と異なり、事業場に常勤しているのが専属産業医です。
まず大きな違いとして常勤と非常勤の違いがあるのですが、そのほかにはどんな違いがあるのでしょうか
企業に常勤する「専属産業医」とは?
企業に常勤する専属産業医は、事業場の人数が1,000人を超えると選任の義務が発生します。
例外として、有害業務に従事する事業場では500人を超えた時点で専属産業医の選任が必要です。
専属産業医は、一般的に平均して週3.5日~4日事業場に出勤して、健康管理室などで産業保健業務に従事します。
また、専属産業医の条件として選任されている事業場が「主なる勤務先であること」が定められています。
専属産業医については以下の記事で詳しく解説しています。
報酬の違いについて
嘱託産業医と専属産業医では大きく報酬が異なります。
嘱託産業医の平均的な報酬は、月1回の訪問で60,000円~200,000円です。
しかしこれはあくまでも平均であり、嘱託産業医の報酬は訪問時間や訪問回数、業務内容、地域、産業医の経験、実績などによって大きく変動します。
詳しい料金については、一度問い合わせをしてみるのが確実でしょう。
一方で、専属産業医の報酬は、週3.5~4日の出勤で年1,000~1,500万円となっています。
嘱託産業医と比べて圧倒的に高額です。
専属産業医についても嘱託産業医と同様に、選任する際の条件によって大きく報酬が変動します。
契約方法の違いについて
嘱託産業医と専属産業医の大きな違いのひとつに契約方法があげられます。
嘱託産業医との契約ではほとんどの場合、間に産業医紹介サービスが入るため、業務委託契約を結ぶことになります。
そのため、訪問回数や訪問時間などによって、報酬もある程度は形態化しています。
しかし、専属産業医は企業と産業医との間で直接雇用契約を結ぶ場合がほとんどです。
正社員として雇用されることはほぼないものの、契約社員として雇用契約や顧問契約を結び産業医の業務を行います。
そのため、報酬も企業と産業医の話し合いによって決定されます。
嘱託産業医の選びかたのポイントについて!
企業に合う嘱託産業医を選ぶことは、労働者の健康や安全を守るうえで非常に重要です。
しかし、嘱託産業医は非常に数が多く、自分の企業に合った産業医に出会い、適切な契約を自力で結ぶのはあまりにも難しいでしょう。
そのため、嘱託産業医を選任する際は、産業医紹介サービスを利用しましょう。
産業医紹介サービスでは、登録されたたくさんの嘱託産業医のなかから、企業にあった産業医を選任することができます。
また、間に入って契約を行ってもらえるため、特別な知識が必要ありません。
多くの産業医紹介サービスでは、選任後のフォローまで行っているため、もしトラブルがあった際にも安心です。
「さんぽみち」運営元である、ドクタートラストは業界トップクラスの産業医登録者数を誇り、産業保健に精通したスタッフが企業の要望を丁寧にヒアリングすることで、企業にあった産業医の選任をアシストします。
嘱託産業医を探す際にはお気軽にお問合せください。