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休職に診断書は必ず必要? 診断書の効力や提出なしの場合の対処法

休職に診断書は必ず必要? 診断書の効力や提出なしの場合の対処法

この記事は4分で読めます

従業員から休職の申し出があった際、会社は診断書の提出を求めるのが一般的です。
しかし、従業員が診断書の提出を拒んだときは、どのように対応すれば良いのでしょうか。
今回は、休職時の診断書の扱いについて、必要性や効力、提出しない従業員への対応をわかりやすく解説します。

休職とは

休職制度は法的に定められたものではなく、あくまでも会社ごとの判断に委ねられるものです。
つまり、従業員から休職の申し出があったとしても、会社がそれを必ず認めなければならない義務はありません。
義務でなければ休職制度自体が不要な規定であるようにも感じますが、簡単に処理できないのがこのテーマの難しいところです。
休職制度を設けることには、次の2つの意義があります。

一つ目は、従業員にとっての意義です。
経済的な安定は、人に安心感をもたらし、生活に集中する助けとなります。
傷病を負った際、収入が不安定であると療養に集中できません。
傷病と業務の板挟みとなりながら回復を遅らせることを想定すると、企業に在籍している安心感は心強いものです。

二つ目は、企業にとっての意義です。
人員に欠員が出ると、採用や入職時研修のための経費、職場内の人間関係醸成など、多大な負荷がかかりますよね。
人間にもメンテナンスが必要なときはあるものですので、個々の従業員に柔軟に対応することは貴重な労働力維持につながります。

休職の理由として多いものは?

独立行政法人労働政策研究・研修機構が2013年に発表した調査によると、休職の理由として最も多いのは「メンタルヘルスの問題」であることが明らかになっています。
メンタルヘルスやハラスメントに関する認識が広まってきていることも鑑みると、従業員が無理せず不調を訴え、休養を取ることができる風土が醸成されつつあるということがわかりますね。これからもメンタルヘルス不調を理由とした休職は増えることが予想されます。

休職の理由としては、ほかにもその他の身体疾患や進学や留学、ボランティアなどの自己都合が挙げられます。
会社にとっては一定期間、人員不足にはなりますが、新たな知識や教示を得た上で会社に還元してもらうことが期待できるでしょう。
従業員の意思を尊重して応援ができると良いですね。

休職希望者に診断書の提出を求めるべき?効力はある?

休職は会社として設けておきたい制度ですが、従業員が勝手気ままに休める体制は望ましくありません。
そのため、休職の理由が妥当なものであるかということを確認するためにも診断書は有効なものです。

休職理由や就業規則による

休職を希望する従業員に対して、会社が診断書の提出を求めるかどうかは、休職の理由や会社の就業規則によって判断するのが一般的です。
休職時の診断書提出は、法的に義務化されているものではなく、診断書一通につき数千円から一万円ほどの費用がかかります。
そのため、診断書の提出を求めるべきかどうかは、しっかり検討する必要があるでしょう。

メンタル不調の場合は診断書を確認

前述の通り、メンタル不調の場合は身体的な疾患のように症状を測る指標がないため、診断書を通して本人の状態を把握することが有効です。
休職を希望する従業員から診断書を受け取ったら、産業医や産業保健スタッフに提出の上、速やかに適切な対応が取れるよう調整を心がけましょう。

産業医面談の実施も

メンタルヘルス不調が理由による休職の場合は、産業医面談を実施することが望ましいです。
診断書を参照しながら、従業員がどの程度の休職が必要であるか、どの程度の期間で復職が見込めるかという点を検討してもらいましょう。
加えて、休職前後に面談を設けることで従業員の変化を観察することも可能となりますから、複数回に渡る面談を行うことが望ましいものです。

診断書を提出しない従業員への対応は?

休職時の診断書提出は、上述の通り法的に強制できません。
個人情報の開示などに抵抗があり、診断書の提出をかたくなに拒む従業員の方もいらっしゃると思いますが、その場合、会社としてはどのような対応ができるのでしょうか。

産業医面談を実施

診断書の提出や医療機関受診を従業員が拒否する際は、取り急ぎ産業医面談を勧めることも有効でしょう。
人事担当者や上司、先輩など、当該従業員が信頼を置ける人が中心となり、強要することなく産業医面談の勧奨を進めることが理想的です。
産業医面談は、従業員の状態の緊急性を判断したり、今後の対応を模索したりするためにも必要ですので、慎重に調整したいものです。

産業医面談を拒否する場合の対応

産業医面談は、休職時の診断書提出と同様に就業規則に従って対応しましょう。
休職・復職を行う際、会社はポジションを補填したり、空けたりしますよね。
会社内調整が避けられないということですから、休職した従業員のみならず、他の従業員にも広く影響するものであると考え、業務における枠組みは労使ともに確認することが望ましいです。
就業規則に則り、会社としてできることとできないことをきちんと示していきましょう。

休職時の診断書提出は就業規則に定めておく

休職時の診断書提出、産業医面談ともに、法的な定めが無いからこそ就業規則での規定が欠かせないということをおわかりいただけましたでしょうか。
就業規則では「欠勤が4日以上続いた場合は医師の診断書を求める」「私傷病による休職の際は産業医面談を設ける」などの文面を盛り込みながら、診断書の提出や産業医面談の必要性を明示しましょう。
法的な背景がないからこそ、就業規則で規定を設けることで均一の対応ができるようになるでしょう。

会社によっては「会社指定の医療機関を受診すること」などの一文を設け、会社と連携のしやすい医療機関を定めることもあります。
会社として確かに連携が取れる医療機関があるのであれば、そのような文言も効果的かもしれません。
なお、就業規則策定の際は、労務関係の専門職と相談しながら進めましょう。

まとめ

メンタルヘルス不調による休職では、休職者の状況と会社としての枠組みのバランスが欠かせません。
良いバランスが維持でき、従業員を大切にできる環境には優秀な人材も集まることでしょう。
産業医は、そのような環境づくりに欠かせないキーマンの一人です。
「さんぽみち」を運営するドクタートラストでは会社ごとのニーズに応じた産業医を紹介しておりますので、お気兼ねなくご相談くださいませ。

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<参考>
独立行政法人労働政策研究・研修機構「メンタルヘルス、私傷病などの治療と職業生活の両立支援に関する調査」

この記事を書いた人

精神保健福祉士 八島

精神保健福祉士 八島

精神保健福祉士として精神科医療や障害者福祉に携わり、たくさんの医師や看護師、諸先輩方から臨床を教わってきました。