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働き方・産業保健

【保健師監修】ストレスチェック結果は上司に見られる?高ストレスの場合は?

ストレスチェック実施の際に、「結果を上司に見られるかもしれない」という不安から、受検を拒否する労働者も少なくありません。
この記事では、ストレスチェック結果や集団分析結果の取り扱いについて詳しく解説していきます。

ストレスチェック個人結果の閲覧は本人と実施者のみ

ストレスチェック結果を見ることができるのは、基本的に受検者本人ストレスチェック実施者のみです。
実施事務従事者に関しては、結果の取扱いは可能となっています。

(心理的な負担の程度を把握するための検査等)
第66条の10 事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師、保健師その他の厚生労働省令で定める者(以下この条において「医師等」という。)による心理的な負担の程度を把握するための検査を行わなければならない。
2 事業者は、前項の規定により行う検査を受けた労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、当該検査を行つた医師等から当該検査の結果が通知されるようにしなければならない。この場合において、当該医師等は、あらかじめ当該検査を受けた労働者の同意を得ないで、当該労働者の検査の結果を事業者に提供してはならない。
出所:労働安全衛生法

上記の労働安全衛生法で「医師、保健師その他の厚生労働省令で定める者」と示されているのがストレスチェック実施者です。
ストレスチェックの結果を閲覧できるのはストレスチェック実施者と本人だけであり、もし事業者に情報を提供する場合は本人の同意が必ず必要になります。
つまり、自身の知らないところでストレスチェック結果が共有されて、受検者の不利益取り扱いにつながることはありません。

不利益取り扱いの防止を目的としたストレスチェックの規定

冒頭にも述べたとおり、受検者への不利益取り扱いはストレスチェック受験率の低下につながります。
受験率の低下はストレスチェックの効果的な運用を妨げるため、不利益取り扱いを防止するさまざまな規定が存在します。
たとえば、実際にストレスチェックの実施にかかわるストレスチェック実施実務従事者に、人事権を持つ人がなることはできません。
これはストレスチェックの結果が、人事上の不利益取り扱いに利用されることを防ぐためです。

また、記入後の調査票は実施者もしくは実務従事者が回収して、第三者や人事権を持つ人が閲覧できないように取り扱わなくてはいけません。
Web受検であれば受検中のプライバシーを確保しなければならず、マークーシート方式であれば記入後の調査票を封筒に入れるなどの配慮が必要です。

高ストレス判定の結果が出た場合は?

高ストレス者判定が出た場合でも、結果を知ることができるのは受検者本人とストレスチェック実施者のみです。
結果を通知する際も、たとえば高ストレス者に該当した労働者のみ結果の通知方法や時期を変えるなどして、面接対象者が類推できるような取り扱いをしてはいけません。

また、高ストレス者に対して産業医面談の希望を促すのも実施者の役割です。
高ストレス者が面談を希望するときに、事業場に産業医面談が浸透していないと「産業医面談=高ストレス者」と類推され、受検者の不利益取り扱いにつながりかねません。
そのため、日ごろから気軽に産業医や保健師などに相談できるように、窓口の整備などを行う必要があるでしょう。

ストレスチェック集団分析結果の閲覧範囲について

ストレスチェック集団分析結果については個人結果とは異なり、受検者の同意なしに事業者が閲覧することができます。
集団分析は、事業場内の集団ごとのストレス傾向を分析するものであり、個人の結果について言及しているものではありません。
そのため、事業者へ集団分析結果を共有し、医師や保健師などからの意見とともに職場環境改善への活用が求められます。

しかし、集団分析の対象となった集団の管理者にとっては、事業場内における評価や人事につながる可能性があります。
そのため、部署ごとの集団分析結果はその部署の管理者のみに留めるとしている企業もあります。
共有範囲などについて決まりはありませんが、衛生委員会で審議したうえで、あらかじめ各事業場での取扱いを社内規程として策定しておくようにしましょう。

また、例外として分析する集団が10人を下回る場合は、個人の特定につながりやすいため、対象となった全員の同意なしに事業者へ結果を共有することを禁止しています。
ただし、10人未満でも、個人特定につながらない方法で集団分析を実施する場合に限っては、結果を事業者に提供することが可能です。

ストレスチェック結果の通知の流れ

ストレスチェックの実施後、個人結果は遅滞なく実施者から受検者へ通知が行われなくてはいけません。

(検査結果の通知)
第52条の12 事業者は、検査を受けた労働者に対し、当該検査を行つた医師等から、遅滞なく、当該検査の結果が通知されるようにしなければならない。
出所:労働安全衛生規則

また、通知する内容について「ストレスチェック指針(心理的な負担の程度を把握するための検査及び面接指導の実施並びに面接指導結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針)」内で、以下の事項を通知するのが望ましいとされています。

① 労働者によるセルフケアに関する助言・指導
② 面接指導の対象者にあっては、事業者への面接指導の申出窓口及び申出方法
③ 面接指導の申出窓口以外のストレスチェック結果について相談できる窓口に関する情報提供
出所:厚生労働省「心理的な負担の程度を把握するための検査及び面接指導の実施並びに面接指導結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針」

また、高ストレス者と判定された受検者に対しては、ストレスチェック結果の通知と同時に、産業医による面接指導の勧奨を行いましょう。

ストレスチェック結果の記録と保存について

ストレスチェックの結果については、事業者が保存場所や保存期間、セキュリティ方法などを決定し、実施者もしくは実施実務従事者の手によって保管されます。
通常のストレスチェック結果の保存期間についての規定はありませんが、受検者の許可を得て事業者に提供された個人結果に関しては5年間保存しなくてはいけません。

また、高ストレス者に対して面接指導を行った場合、その結果や産業医の意見をもとに行った業務上の措置などを含めて5年間保存する必要があります。

(心理的な負担の程度を把握するための検査等)
第66条の10
<中略>
3 事業者は、前項の規定による通知を受けた労働者であつて、心理的な負担の程度が労働者の健康の保持を考慮して厚生労働省令で定める要件に該当するものが医師による面接指導を受けることを希望する旨を申し出たときは、当該申出をした労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による面接指導を行わなければならない。この場合において、事業者は、労働者が当該申出をしたことを理由として、当該労働者に対し、不利益な取扱いをしてはならない。
4 事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、前項の規定による面接指導の結果を記録しておかなければならない。
出所:労働安全衛生法

重ねてになりますが、ストレスチェックの個人結果は不利益取り扱いにもつながりかねない重要な個人情報です。
情報の保存には細心の注意を払う必要があります。
そのため、情報流出などの事故を防止するためには外部機関の利用がおすすめです。

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<参考>
厚生労働省「心理的な負担の程度を把握するための検査及び面接指導の実施並びに面接指導結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針」
厚生労働省「ストレスチェック制度導入ガイド」