メンタルヘルス

ストレスマネジメントとは?人事担当者が知っておきたい基礎知識を解説

ストレスマネジメントとは?人事担当者が知っておきたい基礎知識を解説

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ストレスマネジンメントを従業員の就労管理に取り入れたことはありますか?従業員のメンタルヘルス対策に力を入れる会社の人事担当者は、ストレスマネジメントの基本について理解しておくと役立ちます。そこで今回は、ストレスマネジメント意味や具体的な実践方法に触れながら、期待できる効果について考えてみましょう。

ストレスマネジメントとは

まずは、ストレスマネジメントの正しい意味を覚えておきましょう。
ストレスマネジメントは、厚生労働省より次のような明確な定義が設けられています。

<ストレスマネジメントとは>
ストレスとの上手な付き合い方を考え、適切な対処をしていくこと

ストレスは、私たちが生きている限り、様々な場面で必ず出会います。
適度なストレスは集中力やモチベーションを向上させますので良い効果が期待できる一方、自分で抱えきれないほどのストレスに出会うと、私たちのこころや身体は負荷に耐えきれなくなり、様々な不調を見せるようになります。
利にも害にもなるストレスとどのように向き合い、どのような対処で適度なストレス状態を維持するかということが、ストレスを考える上でのポイントです。

そのような視点から自身のストレスと上手に付き合い、メンタルヘルスを健康的に維持するための試みが、ストレスマネジメントです。

ストレスマネジメントの必要性

職場で働く従業員はさまざまな理由でストレスを感じやすく、ストレスによる症状やサインにいち早く気づき、適切な対処をすることがメンタルヘルス対策につながります。ストレス人事担当者としては、職場に多いストレスの種類や症状のサイン、放置することで起こる不具合などを知っておくことが重要です。

職場で多いストレスの種類

厚生労働省の調査によると、働く人の約半数が、次のような職場環境に起因する悩みを抱えています。

<職場における悩み>
・仕事の質や量
・仕事の失敗や責任の発生
・対人関係
・顧客等からのクレーム
など

いずれも職場環境改善により解消することができる課題ですが、調査の結果、その問題解決のために上司などへ相談できると答えた人は7割にとどまります。
多くの方が一人で悩みを抱え込み、問題の解消が後手に回っていることが窺えます。

参考:厚生労働省「職場におけるメンタルヘルス対策の状況(PDF)」

ストレスによる症状やサイン

ストレスは、身体の病気や怪我のように目に見えるものではありません。しかし、従業員は次のようなサインを発し、異常を知らせることがあります。

<ストレスのサイン>
・悲しさや不安を感じる、無気力になる
など

初期の段階であれば気持ちや環境を整えることで改善しますが、放置することで症状が「固定化」し、改善が難しくなることも珍しくありません。

ストレスマネジメントのやり方

厚生労働省は「労働者の心の健康の保持増進のための指針」において、ストレスマネジンメントのための4つのコツを提起しています。

これは人事担当者が知っておくべきストレスマネジメントの基本であり、今日からできることもたくさんあるので、一つずつ内容を見てみましょう。

参照:厚生労働省「労働者の心と健康の保持増進のための指針(PDF)」

セルフケア

セルフケアとは、私たち一人ひとりが自身のメンタルヘルスケアに注意を払い、こころの健康を維持するための取り組みです。

ストレスの仕組みやそれによる心身の変化についての知識を身に付けながら、自分で自分のストレスに対処する力を養います。
これは、何も難しいことではありません。すでに私たちは自分なりのストレス解消法があるものですから、それを正しい知識で強化する試みと考えるとわかりやすいですね。

ラインケア

ラインケアとは、職場の管理監督者のために設けられるメンタルヘルスケアです。
管理監督者自らが部下のメンタルヘルスの変調を見定め、それに対処するための方法を学びます。

さらには、管理監督者自身のメンタルヘルスにも目を向けます。
管理監督者として問題を抱え込むことも珍しくありませんので、自らのセルフケアも会得することで健康的に考え、対処できるようになることをねらいます。

産業医や保健師によるケア

ストレスマネジメントをはじめとしたメンタルヘルスケアは、大変専門性の高い対応です。
目に見えない問題であるからこそ、対象者の些細な変化を認め、事の重大性を見極めることが大切なので、その技術を持った専門的な知見が欠かせません。
必然的に産業医などの産業保健スタッフの関わりが求められます。

専門職の関わりは、企業の担当者に問題を抱え込ませないためにも大切なものです。

外部支援によるケア

外部支援によるケアとは、事業場のニーズに合ったメンタルヘルスケアの見識を外部から取り入れる取り組みのことです。
地域にある医療機関や地域保健機関、従業員支援プログラム(EAP)などが該当します。

従業員にとっては事業場外で支援を受けられることで、情報の秘匿が容易になります。
企業にとっては、セミナーなどのマンパワーの必要な取り組みを外部に委託することで負荷軽減が期待できます。

ストレスマネジメントに期待できる効果

ストレスマネジメントの取り組みは多岐にわたりますが、これらはどのような効果を期待して取り組むものなのでしょうか。
会社が従業員のストレスに目を向けることに、どのようなメリットがあるのか考えてみましょう。

メンタルヘルス不調の予防

ストレスマネジメントにより、従業員のメンタルヘルス不調を予防することが期待できます。
メンタルヘルスの対処には正しい知識が欠かせませんが、インターネットなどでは根拠の薄い話も少なくないため、従業員に正確な情報を伝えることには大きな意義があります。
普段から、風邪を引かないよう手洗いうがいを心掛けることと同様に、メンタルヘルスにおいても、個々人の意識を高めることで問題化を防ぐことができるのです。

職場環境や人間関係の改善

ストレスマネジメントが効果的に機能すると、職場内の人間関係などを健やかに保つことができます。
例えば、人の思考は思い込みや誤解などが起こるものですが、そのような問題が起こってしまうカラクリなどに気づくことで、人の意見を冷静にとらえることができるようになります。
ハラスメント問題も例外ではありません。自身のストレスを客観的に把握し、意見の譲り合いができるようになると、おのずと人との関わりが穏やかになります。

退職者の減少と職場定着の促進

厚生労働省の調査によると、職場内でストレスを感じている従業員のうち、3割の方が人間関係にその原因があると答えています。
前述の通り、ストレスマネジメントは人間関係の改善にも寄与するため、人間関係によるストレスを軽減することで離職率を下げることが期待できます。
離職率が下がるということは職場定着の促進につながるため、より安定した人間関係を築く機会となります。

技術定着と生産性の向上

ストレスマネジメントによって離職率が下がり、職場定着が促進されると、一人ひとりの従業員の習熟度が上がります。つまり、生産性が向上するということです。
さらに、ストレスマネジメントが適切に行われると、従業員個々のストレス対処力が上がります。
集中力や気力が維持されますので、技術の向上がさらに期待できます。
職場におけるストレス要因が人間関係であることも含めると、ストレスマネジメントによる小さな取り組みが大きな効果をもたらすのです。

ストレスマネジメントの実施例

最後に、ストレスマネジメントに実際取り組んだ企業の実例を見てみましょう。

ストレスチェック制度の導入

ストレスチェックは従業員50名以上の企業で実施義務があるものですが、それ以下の企業でも実施して構いません。ストレスマネジメントでは、ストレスチェック制度を導入し、産業医のアドバイスなどを取り入れることも重要です。
ストレスチェック制度の導入によってストレスマネジメントを実施した事例としては、厚生労働省より、有限会社三崎工業(沖縄県那覇市)の例が報告されています。
こちらの企業は小規模事業場ですが、ストレスチェックを導入しました。
さらに、取り組みの意図を従業員へ明確にしたことで効果的な結果が得られたのです。
ストレスマネジメントは認知度が低いものですので、従業員向けの説明を充実させることで広く理解が得られ、実りのある実践を行うことができます。

有限会社三崎工業(沖縄県那覇市)

ストレスマネジメント研修の実施

ストレスマネジメント研修の実施も、ストレスマネジメントに有効です。
実際にメンタルヘルス研修やハラスメント研修を勉強会と言う形で定期的に催し、全社員を対象として学びを深めている企業もあります。
厚生労働省では、メンタルヘルスケアにおける一次予防に力を入れている企業の実例を紹介しています。
外部からの講師を招くことで、より専門的な知見を広める助けとなり、加えて、社内外の相談窓口体制を整え、従業員の声に応えるための体制を整えています。
こちらは従業員の心に焦点を当て、職場環境を整える取り組み事例として、参考になるのではないでしょうか。

情報通信企業A社(東京都)

まとめ

ストレスマネジメントは、企業にとっては完全オーダーメイドのメンタルヘルス対策です。
メンタルヘルスの対処には専門的視点が欠かせないため、適宜、産業医や産業保健スタッフの視点を取り入れることが有効です。
「さんぽみち」運営元のドクタートラストでは、産業医はもちろんのこと、産業保健師や外部相談窓口、各種セミナーなどのメンタルヘルス対策も充実しています。
小さなことでも構いませんので、お問い合わせをお待ちしております。

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この記事を書いた人

精神保健福祉士 八島

精神保健福祉士 八島

精神保健福祉士として精神科医療や障害者福祉に携わり、たくさんの医師や看護師、諸先輩方から臨床を教わってきました。