この記事は3分で読めます
メンタルヘルス不調を未然に防止する一次予防と職場環境改善のため、50名以上の事業場でストレスチェック制度の実施が義務づけられています。
また、ストレスチェック実施後は、事業場ごとに、厚生労働省から示されている様式で「ストレスチェック報告書」を所轄の労働基準監督署に提出しなくてはなりません。
今回は、ストレスチェック報告書の概要や書き方、提出先、期限などをわかりやすく解説します。
目次
ストレスチェック報告書とは?企業が提出すべき理由と法令上の定め
ストレスチェック報告書とは、「心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書」のことです。
従業員50名以上の事業場ではストレスチェックの実施が義務づけられています。
また、事業者はストレチェックを実施後、所轄の労働基準監督署長に「心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書」を提出しなくてはなりません。
労働安全衛生規則
(検査及び面接指導結果の報告)
第52条の21 常時50人以上の労働者を使用する事業者は、1年以内ごとに1回、定期に、心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書(様式第6号の2)を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
削除: 「心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書」は一般的に「ストレスチェック報告書」と呼ばれており、未提出の場合は、労働安全衛生法120条5号の規定にもとづき、罰則の対象となります。
ストレスチェック報告書の提出義務がない事業者
事業場で雇用している従業員が50人未満の場合は、ストレスチェックの実施義務がないため、報告書の提出義務もありません。
ただし、政府は2028年度までに従業員50人未満の事業場も含め、すべての事業場でストレスチェックを義務化する方針を示しています。将来的に報告書の提出まで義務づけられるかどうかは、まだ不透明です。
ストレスチェック報告書を提出しなかった場合の罰則
ストレスチェック報告書の提出義務を負っている事業者が、提出を怠ったり虚偽の内容を報告したりした場合、労働安全衛生法第120条の5に基づき、50万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
さらに、罰金だけでなく、もし従業員がメンタルヘルス不調を訴え、精神障害の労災が発生した場合には、企業が安全配慮義務違反と判断されるリスクがあります。安全配慮義務違反が認められると、労働者への損害賠償責任を負うことになり、結果的に社会的な信用や企業イメージを大きく損なう恐れがあります。
このように、報告書の提出は単なる事務作業ではなく、企業の法的責任やリスクマネジメントに直結する重要な業務です。
ストレスチェック報告書の書き方と記入例!企業が守るべきポイント
ストレスチェック報告書には、指定の様式があります。
ストレスチェック報告書の入手方法や報告書の書き方について、記入例を交えてご説明します。
ストレスチェックの報告書の様式
ストレスチェック報告書の様式は、以下厚生労働省のサイトからダウンロードできます。
厚生労働省「心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書様式」
また、厚生労働省が運営している「労働安全衛生法関係の届出・申請等帳票印刷に係る入力支援サービス」を使えば、ウェブ上でストレスチェック報告書を作成・印刷することができます。
本サービスの使い方は、以下の記事をご参照ください。
ストレスチェックの報告書の書き方・記入例
ストレスチェック報告書には、ストレスチェックの実施時期や受検者数などを事業場ごとに記入します。
ストレスチェック報告書の書き方、記入例は以下のとおりです。

<関連記事はコチラ>

ストレスチェック報告書では、主に以下の事項を記入します。
項目 | 詳細 |
検査実施時期 | 部署ごとに時期をわけて行っている場合は、報告日に最も近い検査年月 |
在籍労働者数 | 検査実施時期のストレスチェック受検対象者数 |
検査を実施した者、面接指導を実施した医師 | 「実施者」が2名以上の場合は「実施代表者」 |
検査を受けた労働者数 | 実際のストレスチェック受検者数 |
面接指導を受けた労働者数 | 産業医面談を受けた労働者数 |
集団ごとの分析の実施の有無 | |
産業医 | 事業場で選任されている産業医の名前 |
※2020年8月28日以降、「産業医の捺印」は不要となりました。
具体的な記入例は以下をご参照ください。
東京労働局「ストレスチェックと面接指導結果の報告をお願いします」
e-Gov電子申請の利用方法を解説!
ストレスチェック報告書は、所轄の労働基準監督署に書面で提出するだけでなく、e-Gov(電子政府の総合窓口)を利用してオンライン申請することも可能です。
ここでは、e-Govを利用する際の流れを簡単にご紹介します。
1.e-Govアカウントを取得する
初めてe-Govを利用する場合は、まず「e-Govアカウント」の登録が必要です。メールアドレスを登録して本登録を行います。
なお、GビズIDやマイクロソフトアカウントを利用することも可能です。
2.アプリをインストールする
電子申請には専用アプリのインストールが必要です。
Windows版とmacOS版が用意されているので、環境に合わせてダウンロードしてください。古いバージョン(2.1.4.0以前)をインストール済みの場合は、一度アンインストールしてから再インストールする必要があります。
3.2要素認証または追加認証を設定する
e-Gov利用時には、アカウントのメールアドレスとパスワードに加えて、2要素認証または追加認証を設定します。
2要素認証(推奨)
①アプリを開き、アカウントにログイン
②スマートフォンに「Authenticator」または「freeOTP」をインストール
③e-Govアプリに表示されるQRコードを専用アプリで読み取る
④専用アプリに表示された6桁の数字をe-Govアプリに入力
→ 設定完了後は、ログイン時に専用アプリの数字を入力することで認証
追加認証
2要素認証をスキップした場合は、「秘密の質問」とその答えを設定する方式になります。
4、電子申請を開始する
設定が完了したら、e-Govアプリのマイページへログインし、「手続検索」から 「心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告」 を選択します。
必要事項を入力して申請を行い、提出後はマイページから申請状況を確認できます。

ストレスチェック報告書の提出期限と提出方法を徹底解説!
ストレスチェック報告書は、会社単位ではなく事業場単位で所轄の労働基準監督署に提出します。
ストレスチェック報告書の提出期限や提出方法は以下のとおりです。
ストレスチェック報告書の提出期限
ストレスチェック報告書の提出時期は年度末など、事業場ごとに設定することが可能です。
ただし、前出の労働安全衛生規則52条21にあるように、ストレスチェック報告書の提出期限は前回のストレスチェック報告書提出から1年以内でなくてはなりません。
1年以内という提出期限を忘れてしまわないためにも、たとえば「毎年3月に」といった具合に提出時期を毎年固定しておくのがおすすめです。
ストレスチェック報告書の提出方法
また、ストレスチェックは会社単位ではなく、事業場単位実施が義務付けられているものです。
そのため、ストレスチェック報告書も事業場単位で所轄の労働基準監督署に提出します。
「本社でまとめて報告」はできません。
ストレスチェック報告書をサポートするサービス
今回は「ストレスチェック報告書」について、わかりやすく解説してきました。
ストレスチェックを外部委託することで、報告書の提出のサポートを受けることも可能です。
ストレスチェックの導入は産業保健関係の法令への知識などが必要で、担当者の負担が大きくなってしまいます。そのため、これから導入する予定のある企業はまるごと外部委託がおすすめです。
「さんぽみち」運営元のドクタートラストのストレスチェックサービスは、ストレスチェックの準備から実施、集団分析、報告書記入・提出のサポート、結果の保存報告まで、トータルで専門スタッフがご支援いたします。
ご相談やお見積りは、もちろん無料です!お気軽にお問合せください。

よくある質問まとめ
Q: 報告書の提出期限はいつですか?
A: 前回の報告書提出から1年以内です。毎年同じ時期に固定することをおすすめします。
Q: 提出しないとどうなりますか?
A: 労働安全衛生法により罰則の対象となります。
Q: 本社でまとめて提出できますか?
A: いいえ、事業場ごとに個別提出が必要です。
Q: 様式はどこで入手できますか?
A: 厚生労働省のサイトから無料でダウンロードできます。
関連リンク
・ 「ストレスチェック等の職場におけるメンタルヘルス対策・過重労働対策等」(厚生労働省)
・ 「こころの耳」(厚生労働省)
・ 「ストレスチェック制度」(Wikipedia)