株式会社ドクタートラストでは、ストレスチェックの集団分析結果をもとに独自指標「TRUSTY SCORE(職場環境指数)」を算出し、良好な環境を維持している企業を「職場環境優良法人」として毎年表彰しています。
2024年度も受賞企業が決定し、広報部として私はインタビューや原稿作成に携わるなかで、どの企業にも共通する特徴が見えてきました。
もちろん、各社の取り組みは千差万別ですが、今回はそのなかでも浮かび上がった「共通点」にフォーカスし、「良い職場環境」とは何かを探っていきます。
目次
風通しの良い「コミュニケーション」が文化になっている
どの企業も共通して強調していたのが、「社内コミュニケーション」の重要性です。
上司と部下、同僚同士、従業員と経営層など、あらゆる関係性の中で「話しやすい雰囲気」を意識的に作っています。
ある企業は「特別なことはしていない」と語っていましたが、それでも「従業員の声を聞く」ことは日常的に行っていました。
特に注目したのは、悩みや不安を上司に相談しやすい環境づくりへの取り組みです。
背景には、日本全体の労働力不足や若手の離職率の高さがあります。
働き始めたばかりの従業員は、自分の意見を言い出せずにストレスを抱え、そのまま離職につながるケースが少なくありません。
だからこそ、企業は「離職につながる前に気づく仕組み」や「言いやすい風土づくり」に力を入れています。
雑談を仕掛ける「社長のおごり自販機」
テックタッチ株式会社では、社員証を2枚同時にタッチすることで、2人分のドリンクが無料になる「社長のおごり自販機」というユニークな取り組みを導入。
これにより部署を越えた会話や雑談が自然と生まれ、組織に一体感と心理的安全性が育まれています。
「変化」を恐れずに新しい取り組みに挑戦している
毎年の受賞企業の中には、前年と同じ顔ぶれもありますが、そうした企業でも新たな取り組みを積極的に実施しています。
すでに良い職場を作れているはずなのに、なぜ挑戦を続けるのでしょうか。
その答えは明確で、「もっと良くできる」と考えているからです。
4年連続で職場環境優良法人に選ばれたGCストーリー株式会社では、本質的な成長を促す「シフター」と呼ばれる人材を育成するため、最短3年間にわたる独自のプログラムの導入を開始しました。
初受賞となった企業の中でも、ベストパートナー株式会社には「地域で最も働きたい会社」を目指すというビジョンがあり、オフィスにブックラウンジを併設するという大胆な施策を打ち出しています。
こうした「変化を恐れず、まず動いてみる」姿勢こそ、優良法人の特徴のひとつです。
やってみないとわからない
ある企業が語っていたのが、「どんな施策が効果的かは、実際に試してみないとわからない」という姿勢です。
年齢構成や性別、業務内容、企業規模など、組織ごとの違いによって響く施策は異なります。
ピンポイントで正解を狙うのではなく、「トライ&エラー」を繰り返すことが、変化を受け入れ前進し続ける企業に共通するマインドセットです。
「働きやすさ」のその先に生産性の向上を見据えている
もう一つ注目すべき共通点は、職場環境の改善が「目的」ではなく「手段」として捉えられている点です。
職場環境の整備がゴールになってしまう企業もありますが、職場環境優良法人に選ばれる企業の多くは、「従業員が最大限の力を発揮できるように環境を整える」という考えが根本にあります。
これは、戦略的に従業員の健康やモチベーションを高めて生産性と業績の向上を図る「健康経営」の考え方と一致しています。
つまり、福利厚生や有給取得のしやすさといった働きやすさの確保に加え、キャリア支援や成長機会の提供を通じて、やる気を引き出す環境づくりが、職場環境改善において欠かせない視点だといえるでしょう。
「静かな退職」時代の働き方に対抗する
近年、「静かな退職(Quiet Quitting)」と呼ばれる、仕事に対して最低限の関与しかせず主体性を失う現象が話題です。
これは「働きやすさ」だけを整えた結果として起こることもあります。
「働きやすい」だけでなく、「働きがい」も感じられる職場こそが、本当に良い職場です。
職場環境優良法人に選ばれた企業には、こうしたバランスを見据えたアプローチが共通しています。
「良い職場環境」とは企業の文化・姿勢である
受賞企業の取り組みから見えてきたのは、コミュニケーション・変化への柔軟さ・生産性の視点という3つの柱でした。
企業は、新しくユニークな職場環境改善施策を次々と行っています。
しかし、どれも一過性の対策ではありません。
企業は、これらを「文化」として根付かせようと努力し続けています。
「良い職場環境」とは完成形ではなく、変化に適応し続ける「文化」そのものです。
働く人たちの声に耳を傾け、変化を受け入れ、よりよい未来をつくろうとする企業姿勢こそが職場環境改善の本質なのかもしれません。
高精度の集団分析で「働きがい」に直接アプローチする
ドクタートラストの集団分析では、ストレスが少ない状態を確認するだけでなく、「働きがいをもっていきいきと働けているか」に着目した指標として、「STELLA(ステラ)」人材を算出しています。
STELLAは、単にストレスが低いだけでなく、ポジティブな影響を周囲に与え、職場全体の環境改善を牽引できる存在です。
このSTELLAになりうる人材(STELLA候補者)の割合を可視化することで、「やりがいのある職場」「いきいきと働ける職場」への道筋がより明確になります。
また、多くの受賞企業が語っていたのが、ストレスチェックと集団分析が、自社の取り組みの答え合わせになるという点です。
ドクタートラストのストレスチェックは、全ての受検企業に無料で集団分析と専門家によるフィードバックを行っているため、自社の施策が従業員にどう届いているのかを明確に振り返ることができ、次なるアクションへの指針となります。
さらに、ドクタートラストでは、産業医・保健師の選任サポート、健康管理システム、外部相談窓口など、企業の健康経営を多角的に支えるサービスを展開中です。
「働きやすさ」と「働きがい」の両立を目指す企業さまは、ぜひ一度ご相談ください。
<参考>
ストレスチェック研究所「第4回 職場環境優良法人2024年度 」