2025年8月20日、厚生労働省は「ストレスチェック制度等のメンタルヘルス対策に関する検討会 第8回資料」(以下、資料)を公開しました。
今回の資料には、小規模事業場におけるストレスチェック制度の今後のロードマップが明記されています。あわせて、制度導入に向けて最も懸念されている「プライバシー保護」の重要性も繰り返し指摘されました。
この記事では、資料の内容をもとに今後のスケジュールと、法令施行前に企業が準備しておくべきポイントを整理します。
目次
2026年度にはマニュアル公表!2028年度に施行予定
資料では、今後のスケジュールが以下のように示されています。

出所元:厚生労働省「『小規模事業場ストレスチェック実施マニュアル』
作成ワーキンググループの設置について」
- 2025年度:ワーキンググループを設置し、小規模事業場向けストレスチェック実施マニュアルの検討を開始
- 2026年度初頭:マニュアルを公表予定
- 2026〜2028年度:約2年間の周知・準備期間
- 2028年度:法令の施行
今後のスケジュールが公開され、小規模事業場においても計画的にストレスチェック実施体制を整えることが可能になりました。
7つの論点と検討事項
検討会では、小規模事業場でのストレスチェック実施に関する主要な論点として、以下の7点が挙げられました。
これらは今後、ワーキンググループで詳細に検討されていきます。
・労働者の意見を聴く機会の確保
50人未満では衛生委員会設置の義務がなく、労働者の声が反映されにくい。
そのため、別の仕組みで意見を聴取する必要がある。
・外部委託先の適切な選定
プライバシー保護の観点から外部委託が推奨されるが、サービス品質を担保する水準を国が設ける見通し。
ストレスチェック制度実施マニュアルに記載されている「外部機関にストレスチェック及び面接指導の実施を委託する場合のチェックリスト例」50人未満の事業場用にアップデートしていく必要がある。
・調査票の選定
簡易版(23項目)を含め、負担軽減を意識。
紙・Webどちらで実施するかも課題。
・面接指導の環境整備
高ストレス者が安心して申し出られる仕組みづくり。
地域産業保健センター活用の道筋や情報提供の在り方を整理。
・集団分析
少人数だと個人が特定されるリスクがあり、10人未満は非推奨。
プライバシーを守りながら集団分析をしていく方法を検討。
・労働者のプライバシー保護
結果提供の強要や不利益取扱いを防ぐ仕組みづくり。個人情報を安全に扱うための明示的なルールが必要。
・10人未満の事業場での対応
10人以下の事業場でのストレスチェックはプライバシーの保護も考えつつ、現状に即した取り組み可能な内容を考えていく必要性がある。
課題は「プライバシー保護」
資料を通して最も強調されているのが、労働者のプライバシー保護です。
小規模事業場では従業員数が限られるため、個人情報が特定されやすく、不利益取扱いにつながるリスクが高く、現行制度よりも厳格な情報管理が求められる可能性もあります。
企業は法令施行を待つのではなく、今から情報管理体制を見直し、プライバシー保護を徹底する準備を進めることが重要です。
信頼できる外部委託先の選び方
小規模事業場でのストレスチェックは、プライバシー保護の観点から外部委託が推奨されます。しかし、委託先の品質が不十分であれば、逆に従業員の不信感を招きかねません。そのため、厚生労働省も一定の基準を設け、信頼性のあるサービス選定を求めています。
こうした中で注目したいのが、ドクタートラストの「ストレスチェック50」です。
本サービスは 50人未満の事業場専用に設計 されており、実施に伴う負担を最小限に抑えながら、法律に則った正確な運用が可能です。
さらに、以下の点で安心して導入いただけます。
小規模事業場にとって「誰に任せるか」は最も大きな課題のひとつです。
「ストレスチェック50」であれば、従業員のプライバシーを守りつつ、担当者の負担を減らしながら制度導入に備えることができます。
今から取り組むべきこと
今回の資料によって、2026年度にマニュアルが公表され、2028年度には法令が施行されるという大まかなスケジュールが示されました。
今後の検討の中心には「プライバシー保護」が据えられており、小規模事業場であっても個人情報を慎重に取り扱うことが求められるでしょう。
また、ストレスチェックの実施は外部委託が推奨されますが、国が一定の水準を設ける見通しであるため、信頼できる委託先を選びが欠かせません。
こうした準備を今から始めておけば、制度施行の際にも慌てず対応することができます。
小規模事業場にとってストレスチェック制度は新しい取り組みですが、従業員の健康を守り、働きやすい職場をつくる大切な機会でもあります。
今回示されたロードマップを踏まえ、計画的に準備を進めていきましょう。
<参考>
・厚生労働省「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル」
・厚生労働省「ストレスチェック制度等のメンタルヘルス対策に関する検討会 第8回資料」