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ストレスチェック実施後は、受検者に結果を通知します。
またストレスチェックの結果、高ストレスかつ必要と判断された場合は、産業医面談を受けることができます。
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今回は、ストレスチェックの高ストレスの概要から結果通知以降の流れ、そして高ストレス者を放置してはいけない理由をわかりやすく説明します。
目次
ストレスチェックの高ストレスとは
ストレスチェックの結果により判断される「高ストレス者」とは、自覚症状が高い者や、自覚症状が一定程度あり、ストレスの原因や周囲のサポートの状況が著しく悪い人のことを指します。
ストレスチェックの設問は主に3つの項目に分けられます。
2.仕事のストレス要因
3.周囲のサポート
この3つの項目が基準よりも高い場合に高ストレス者として認定されます。
高ストレス者の選定基準
具体的な「高ストレス者」の基準は法令などで定まっていません。
ストレスチェックを実施する事業場ごとに、一般的には以下の①および②に該当する、おおむね全体の10%程度を高ストレス者として選定することになります(割合は事業者ごとに設定可能)。
②「心身のストレス反応」に関する項目の評価点の合計が一定以上であり、かつ「仕事のストレス要因」および「周囲のサポート」に関する項目の評価点の合計が著しく高い者
ストレスチェック結果が高ストレスだった場合
ストレスチェックで高ストレス者と認定された労働者がいた場合はどうすればいいのでしょうか。
産業医による面談指導を実施する
ストレスチェックで高ストレス者と認められた労働者に対しては、本人の申し出に応じて産業医面談を実施する必要があります。
(心理的な負担の程度を把握するための検査等)第66条の10
<中略>3 事業者は、前項の規定による通知を受けた労働者であつて、心理的な負担の程度が労働者の健康の保持を考慮して厚生労働省令で定める要件に該当するものが医師による面接指導を受けることを希望する旨を申し出たときは、当該申出をした労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による面接指導を行わなければならない。この場合において、事業者は、労働者が当該申出をしたことを理由として、当該労働者に対し、不利益な取扱いをしてはならない。出所:労働安全衛生法
また、医療機関の受診の必要性についてもこの面談で判断します。
高ストレス者が産業医による面談指導を希望しないときは?
ストレスチェック結果の通知はどのように行われる?
ストレスチェックの結果(ストレス程度の評価結果、高ストレスかどうか、医師かの面接指導が必要かどうか)は、産業医などのストレスチェック実施者から直接本人に通知されます。
このとき結果が企業側に通知されることはありません。
また、ストレスチェック結果の通知は封書または電子メールなど、他の人に結果が見られない形式で届くため、「高ストレス者」に該当しても、それが周りに知られることはありません。
ストレスチェック結果の開示に関する同意とは?
ストレスチェックの結果は、本人の同意がない限り、事業者に提供されることはありません。
情報開示の同意を得るには、受検者に結果を通知する際または通知した後に、ストレスチェック実施者または実施事務従事者が、受検者個々人より同意を取得することになります。
以下では、ストレスチェックの結果の開示に同意したことにはなりませんので注意してください。
・ 不同意の意思を期日までに示さない限り同意したとみなすオプトアウト方式
・ ストレスチェック結果通知前の同意取得
情報開示の同意取得にかかわる記録は5年間保存しましょう。また、不同意を示した労働者に対して、事業者側から同意を働きかけることは、強要や不利益取り扱いにつながるおそれがあるため、絶対にしてはいけません。
高ストレス者から面談の申し込みがあった場合は?
ストレスチェックの結果、高ストレスで医師による面接指導が必要であると判断された労働者には、産業医面談の勧奨を行います。
この際、「面接指導の申し出をもって、ストレスチェック結果を事業者側に開示することに同意したとみなす」取り扱いをする場合は、トラブルを回避するうえでも、結果通知の際にこの取り扱いを伝えておきましょう。
ストレスチェックで高ストレス者に行われる面談とは?
ストレスチェックの結果、高ストレス者と判定され、必要と判断された労働者に対しては、産業医による面接指導が行われます。
このときの面接指導は、労働者と産業医が1対1で行い、人事担当者や上司が同席することはありません。
高ストレス者は、実際の仕事の状況などを率直に話し、産業医は面談内容をもとに就業上の措置の必要性の有無などを会社側に意見します。
医師から事業者に提出される意見書とは
面接指導を行った医師は、面接指導結果報告書および意見書を作成し、事業者に提出します。
② 就業上の措置に係る意見書:就業上の配慮が必要かどうか、必要な場合は具体的にどのような配慮が必要か、労働環境改善への意見などを記入
ストレスチェック結果で高ストレスだった従業員は放置しない
前述のとおり高ストレス者とは、ストレス症状が高い者や、ストレスの自覚症状が一定程度あり、尚且つストレスの原因や周囲のサポートの状況が著しく悪い者を指し、このうち必要と判定された人は「医師による面接指導」すなわち産業医面談を受けることができます。
ただし、労働者側には産業医面談を受ける義務はなく、高ストレス者からの面談の申し出はあまり多くないのが実情です。
事業場では、なるべく産業医面談が受けやすい環境を作り、面談を受けるように勧奨しましょう。高ストレスの労働者を放置することで、症状が深刻化、労働問題に発展することもあります。
また、産業医面談を行うことで、労働者が置かれている状況を知ることができます。
医師の意見書をもとに就業上の措置を講じ、ストレス程度を緩和することにもつながります。
高ストレス者から面談の申し込みがない場合
ストレスチェック結果が高ストレス判定だったとしても、面接指導対象者のなかには、「産業医面談を受けたら職場で不利益な取り扱いを受けるのでは」と、面談の申し込みに二の足を踏む人も少なくありません。
人事担当者は、産業医面談を受けることで不利益な取り扱いが行われることはないこと、個人のセンシティブな情報は守られることを、高ストレス者へ説明しましょう。
また、面談を受けやすいよう、産業医面談は就業時間内に行ってください。
それでも、産業医面談を拒否する労働者がいる場合は、日ごろの産業保健活動で気に掛ける、相談を受けるなどして対応しましょう。
産業医面談を受けないことを理由として、高ストレス者に対して不利益な取り扱いが行われることはあってはいけません。
まとめ
今回は、ストレスチェックの高ストレスとは何か、高ストレスだった場合の通知方法から産業医面談までの流れ、高ストレス者を放置してはいけない理由などをわかりやすく解説してきました。
ドクタートラストのストレスチェックサービスは、初めての担当者さまでも安心なように、トータルでサポートいたします。
関連リンク
・ 「ストレスチェック等の職場におけるメンタルヘルス対策・過重労働対策等」(厚生労働省)
・ 「こころの耳」(厚生労働省)
・ 「ストレスチェック制度」(Wikipedia)