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働き方・産業保健

【保健師監修】過重労働対策として企業が取り組むべきことは?

過重労働対策として企業が取り組むべきことは?
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過重労働問題は日本が抱える重要課題のひとつであり、政府も各企業の対策を求めています。
しかし、過重労働の基準があいまいなまま、やみくもに残業を禁止しては業務が滞ってしまう事業場も多いはずです。
今回は、過重労働をなくすにはどうすればいいのか解説します。

過重労働とは

過重労働の明確な定義はありません
一般的には、長時間の残業や休日出勤、頻繁な出張などによって身体・精神に負荷がかかる働き方を指します。
こうした過重労働は脳疾患や心臓疾患のリスクを高め、過労死の原因となります

過重労働の基準

2019年の4月に改正労働基準法が施行され、罰則付きで時間外労働の上限時間が設定されました。
原則として月45時間、年360時間が上限となり、それ以上は臨時的な特別な事情がない限り、時間外労働を認めていません。つまり、この範囲内の残業時間であれば、過重労働にはあたらないというのが一般的です。
それとは別に存在するのが、過労死ラインです。
あくまで目安ですが、過重労働による脳や心臓疾患の発症リスクが上昇する基準が2つ示されています。

・発症の直近1ヶ月の残業時間が100時間を超えている
・発症の2~6ヶ月間の残業時間が月平均80時間を超えている

上記の条件を満たした脳や心臓疾患は過重労働が原因であり、労災と認定されます

長時間労働との違い

長時間労働と過重労働はほとんど同じ意味で使われますが、若干の違いがあります。
長時間労働は名前の通り長く働くことですが、過重労働は長時間の労働に加えて、精神的な負荷や、身体的な負荷を含む場合に使われます。

20年ぶりに見直された過労死のライン

これまでも労働時間以外にも不規則な勤務や出張の多い業務も過重労働に含まれていましたが、さらに以下の要素が負荷要因に盛り込まれました。

勤務時間の不規則性 休日のない連続勤務
勤務間インターバルが短い勤務
事業場外における移動をともなう業務 その他事業場外における移動をともなう業務
心理的負荷をともなう業務
身体的負荷をともなう業務

出所:脳・心臓疾患の労災認定基準 改正に関する4つのポイント

過重労働が起こる原因は?

過労死をなくすためには、なぜ過重労働が起こるのかを知る必要があります。
過重労働が起こる主な要因を解説します。

人手不足と業務量過多

過重労働が起こる原因としては、そもそもの業務量の多さや業務量に対する人員の不足といった点があげられます。
人件費の削減などで業務量に対して十分な人員が揃っていない事業場では、残業や休日出勤が恒常化してしまいがちです。
さらに、一人ひとりの負担が増えても業務は完了しており、結果的に事業場は回転しているように見えるため、事業者がなんら対策を取らないケースが多く、過重労働が放置されてしまいます。

業務効率・生産性が良くない

業務効率や生産性の悪さから過重労働が起こるケースもあります。
例えば、無駄な朝礼や会議、打ち合わせなどが強制的に組まれ、実際の業務に悪影響がでているパターンなどです。
こうした企業では、業務の効率や生産性よりも形式を重視する傾向にあります。
「昔からやっているから」「いつもこうだから」と思考停止して、無意味な会議に向けた資料作りなどに時間がとられて過重労働に陥っているケースも少なくありません。

残業に対する意識が低い

過重労働は経営者側の問題だけではなく、労働者側の残業に対する意識が低さも原因のひとつです。
「残業して当たり前」と労働者が考えていれば、当然ですが残業はなくなりません。
こうした残業に対する意識が低い事業場では、逆に残業を推奨するような雰囲気が醸成されていき、「定時で帰るのが申し訳ない」と思う労働者が増え、過重労働に陥るケースが非常に多いのです。

マネジメント不足

労働者の業務の進行具合や労働時間を管理できていれば、過重労働が起こる前に対処が可能です。
しかし、うまくマネジメントができていない事業場では残業や休日出勤が見過ごされて、改善がおこなわれません。なかには、事業者が労働者の過重労働に気づいていながら放置されているケースもあります。

企業が取り組むべき過重労働対策とは

では過重労働対策として企業はどんな取り組みが必要なのでしょうか。
具体的な取り組みを紹介します。

労働時間や残業への方針を労働者に周知する

最も重要な取り組みのひとつとして、労働時間や残業に対する方針の周知があげられます。
いまだに、長時間労働が美徳とされ、残業が当たり前となっている事業場は多く、こうした企業では無駄な残業が繰り返され、過重労働が横行します。
まずは、企業として労働時間の厳守と残業に対する取り扱いについての方針をしっかりと打ち出し、企業全体として過重労働問題に取り組む姿勢を示すのが重要です。管理監督者や労働者の意識改革が問題解決への第一歩です。

管理監督者への研修を行う

管理監督者への研修も重要な過重労働対策です。
全体の労働時間が増えていたり、1人に大きな負担がかかっていたりする職場では管理監督者のマネジメントが不足している可能性があります。
管理監督者に対して、マネジメント研修などをおこなうことで、過重労働への意識向上をはかりましょう。

アラート機能付きの勤怠管理システムを活用

労働者の管理をする際には、勤怠管理システムを上手く活用するべきでしょう。
現在では、アラート機能付きの勤怠システムもあり、残業時間や労働時間、打刻漏れ、連続勤務、休日出勤などを事業者や管理監督者に通知できます。
こうした勤怠管理システムを導入することで、過重労働の未然予防が可能です。

ストレスチェック制度や産業医面談の活用

過重労働対策においてはストレスチェックや産業医面談の活用も重要です。
ストレスチェックを実施することで、過重労働によりストレスを感じている労働者を発見し、産業医面談を実施、メンタルヘルス不調の予防につながります。また、集団分析結果から職場環境改善も可能です。
月に80時間を超える時間外労働をおこなった労働者に対しては、産業医による面談をすすめましょう。

業務効率化や職場環境改善の検討

業務の無駄を解消し、業務効率化を進めていくのも過重労働対策のひとつです。
今までおこなっていた朝礼や会議、打ち合わせが本当に必要なのか検討してみましょう。無駄な会議を減らすことができれば、労働者は自分の仕事により集中できます。
また、会議内容の見直しも重要です。会議目標の明確化や人数の制限などをおこない、時間を短縮し質の高い会議を目指しましょう。

まとめ

今回は、企業が取り組むべき過重労働対策についてわかりやすく解説しました。
過重労働を放置すれば大きなリスクとなるため、業務効率の向上や労働者のマネジメントを通して健康経営の実現が求められています。
「さんぽみち」運営元のドクタートラストは、過重労働対策において重要な産業医の選任サポートを提供しています。ストレスチェック実施サポートもおこなっていますので、お気軽にお問合せください。

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