「健康経営優良法人」や「ホワイト500」は経済産業省がおこなっている、労働者の健康保持増進に向けた重要な取り組みです
今回は、健康優良法人やホワイト500企業を目指す際のポイントやメリットを紹介します。
目次
ホワイト500とは
健康経営優良法人やホワイト500は、健康経営に取り組む優良な法人を社内外に発信する顕彰制度であり、これから超高齢化社会を迎える日本にとって非常に重要な施策のひとつです。
健康経営優良法人とは
健康経営優良法人は特に優良な健康経営への取り組みをおこなっている企業を顕彰する制度であり、健康経営への取り組みが社会的に評価される環境の整備を目的としています。
認定されるためには、さまざまな認定基準を満たさなくてはいけないため、難易度の高い認定制度と言えるでしょう。しかし、認定企業数は右肩上がりで増加を続けており、各方面から注目が集まっています。
健康経営優良法人に認められるとロゴが使用可能となり、社内外に健康経営への取り組みをアピールすることができます。
ホワイト500って何?
健康経営優良法人に選ばれた企業のなかで、より優秀な取り組みをおこなっている上位500の企業をホワイト500と認定し顕彰しています。
2022年度の健康経営優良法人数は大企業が2,299、中小企業が12,255であり、上位500位は非常に狭き門となっていますが、認定されれば企業イメージの向上などの大きなメリットが期待できます。
健康経営・健康投資とは
ホワイト500には「健康経営」や「健康投資」という考え方が欠かせません。
健康経営と健康投資については健康経営優良法人認定制度の概要資料内で以下のように定義されています。
・健康経営とは、従業員等の健康保持・増進の取組が、将来的に収益性等を高める投資であるとの考えの下、健康管理を経営的視点から考え、戦略的に実践すること。
・健康投資とは、健康経営の考え方に基づいた具体的な取組。
出所:経済産業省「健康経営の推進について」
超少子高齢化社会における働き手の減少が避けられない日本においては、労働力の確保のために重要な考えかたであり、社会的にも重要な概念です。
また、健康への投資は生産性を向上させ、業績の向上や組織としての価値向上につながります。
ホワイト500とブライト500の違いは?
ホワイト500とブライト500の違いは企業規模の違いです。
ホワイト500は大企業の健康経営優良企業が選ばれ、ブライト500は中小企業が選ばれます。2つの違いは企業規模だけで、認定基準などは変わりません。
ホワイト500の認定基準
ホワイト500の認定を受けるためにはクリアすべき基準が5つあります。
・制度や組織体制
・施策の実行
・評価と改善
・法令順守とリスクマネジメント(自主申告)
上記の5つの基準をそれぞれ詳しく解説します。
経営理念(経営者の自覚)
まずは経営者自身が健康経営を理解し、その方針を社内外へ発信しましょう。
経営者が健康経営に対する姿勢を明確にすることは何をおいても重要です。
加えて、経営者自らの健康診断受診も忘れないようにしましょう。
組織体制
健康経営を実現する組織体制をつくるためには以下の3点が重要です。
・産業医や保健師の関与
・健保組合など保険者との連携
健康づくり責任者を選任する際には、役員以上の役職を持っている者が望ましく、どの立場の人間を健康づくり責任者とするかが重要です。
また産業医や保健師の選任は必須と言っていいでしょう。
制度・施策実行
労働者の健康を守るためにどんな制度を設計し、施策をおこなっているのかも重要です。
主な取り組みとして以下の施策があげられます。
・50人以下の事業場でのストレスチェック実施
・セミナーの実施
・病気治療と仕事の両立支援
・保健指導の実施
・感染症予防対策
・受動喫煙対策
これらはあくまでも一部であり、企業として取り組むべき施策は多岐にわたります。
評価・改善
実行した組織づくりや施策に対して評価と改善をおこないます。
大切なのは経営理念にもとづいた施策であり、企業の特色にあった健康保持増進への取り組みを実施するために、細かな振り返りと改善が必要です。
法令遵守・リスクマネジメント(自主申告)
労働基準法や労働安全衛生法に違反してしまうと、他の項目が優秀でもホワイト500に選ばれることはありません。
労働安全衛生法で定められた健康診断やストレスチェックは必ず実施しましょう。
ホワイト500に選ばれるメリット
健康経営優良法人やホワイト500に選ばれるためには細かい認定基準を一つひとつクリアしていく必要があり、時間や労力、金銭的なコストがかかります。
しかし、認定されることで得られるメリットは無視できません。
企業イメージの向上
健康経営優良企業に選ばれれば、企業イメージの向上が期待できるでしょう。
ホワイト500のロゴマークが会社のHPに掲載されていれば、労働者を大切にしている企業だと周囲は認識します。こうした評価は、労働者の企業選びに大きな影響を与え、優秀な人材が集まる確率が高くなるでしょう。
また、類似サービスを提供する企業との差別化も図れるため、取引先や投資家などから高い評価を受けられる可能性が高まります。
従業員の健康意識の向上
従業員の健康意識の向上はホワイト500の大きな目的です。
労働者一人ひとりが自身の健康と向き合うことで、将来の大きな病気による休職や退職のリスクを軽減するため、労災による人員補充のコスト削減につながります。
生産性向上や業績向上
ホワイト500企業に選ばれることで、生産性の向上や業績向上につながります。
健康経営優良法人への取り組みのなかには、職場環境を整備するための施策も多く含まれています。職場環境を整えて、労働者がのびのびと働ける場所を用意することで、生産性は向上し企業の業績も上がっていくでしょう。
ホワイト500・健康経営優良法人を目指すポイント
ホワイト500や健康経営優良法人を目指す際には産業医の選任が重要です。
前述の認定基準を見てもらえればわかるとおり、非常に細かく膨大な項目が存在します。また、実際に組織体制を整え、制度を立ち上げ、施策を実行するためには専門的な知識が必要であり、一般の労働者だけでは難しいのが現実です。
産業医は医学的な知識に加えて、労働者を適切に管理するための知識を持っており、ホワイト500企業を目指す際に大きな助けとなるでしょう。また、ストレスチェックなどは産業医の選任が必須であり、ホワイト500や健康経営優良法人を目指す際には産業医、または保健師の存在は欠かせません。
まとめ
今回は、ホワイト500と健康経営優良法人についてわかりやすく解説しました。
近年、少子高齢化の影響で労働力人口は減少の一途をたどっています。そのため、女性や高齢者からの労働力の確保は社会全体として取り組むべき課題であり、健康経営や健康投資といった考え方は、より重要度を増しています。
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<参考>
経済産業省「健康経営の推進について」