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働き方・産業保健

従業員数50名を超えた事業場が産業医選任前にすべき5つのこと

従業員数50名を超えた事業場が産業医選任前にすべき5つのこと
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2016年版の経済センサス活動調査(総務省統計局)を参照すると、日本の企業数は386万という数字に到達しています。
このなかには個人事業者も含まれるため、企業数としての正確な数字とはいえませんが、経済産業省における平成28年企業活動基本調査速報を見てみると50名以上の企業はのべ3万超、事業所数は44万を超えています。
企業数というのは年々減少傾向にあるようですが、新興した企業が瞬く間に50名を超えるというケースも近年では珍しくはないのではないでしょうか?
従業員が50名を超えた事業場では、まず最初に衛生管理者の選任など、大きくわけて5つのことをしなくてはなりません。
さて本日は、50名を超えた企業が行う必要がある産業医選任について、そのちょっと前の段階についてお話します。

初めての産業選任!その前にすべき5つのこと

産業医の選任をする前にまずは会社の状況を確認しましょう。
企業の担当者からよく聞くのが、「従業員が50名を超えたからまずは産業医を導入したい」というお話。
しかし、ご存知のとおり「産業医の選任」だけでは法令遵守とはいきません。
では、何から始めればよいかみていきましょう。

① 衛生管理者の選任をしましょう

衛生管理者は、今後の産業保健、衛生管理活動において主として動いていただく方です。
産業医と同じく労働基準監督署への届け出も必要です。
主な職務は、労働者の健康障害を防止するための作業環境管理、作業管理および健康管理、労働衛生教育の実施、健康の保持増進措置などです。
衛生管理者は、一般社員のなかから選任してもいいのですが、転職や転勤の可能性を考えると、役職者を選任することもおすすめです。
また、衛生管理者は誰でもなれるわけではありません。
公益財団法人安全衛生技術試験協会で行われる衛生管理者の国家試験を受験、合格し「衛生管理者」の免許を所持している人でなくてはなりません。
さらに、「衛生管理者」の資格は、第一種衛生管理者と第二種衛生管理者に分かれています。
試験の出題範囲は第一種衛生管理者のほうが広く、難易度も高いものの、どの業種であっても第一種衛生管理者の資格を所持していれば衛生管理者になることができます。

<第一種衛生管理者と第二種衛生管理者の違い>

第一種衛生管理者:すべての業種で衛生管理者になることができます。
第二種衛生管理者:有害業務と関連の少ない情報通信業、金融・保険業、卸売・小売業など一定の業種の事業場においてのみ、衛生管理者となることができます。

従業員が50名を超えそうになったら、まず、事業場内に、衛生管理者の資格を所持している人がいるかを確認、いなければ衛生管理者に選任する見込みの人に、試験を受験してもらいましょう。
衛生管理者の試験は、安全衛生技術試験協会のもと、通年で行われています。
受験日などは安全衛生技術試験協会のウェブサイトを参照してください。
ちなみに、国家資格というだけあり、過去問やテキストでの試験勉強は必須です。

② 衛生委員会のメンバー選出が必要です

衛生管理者が無事決まったら、衛生委員会のメンバー選出を始めます。
衛生委員会とは、衛生に関係することで事業者に意見を述べるため、調査・審議等を行う場です。
産業医も交えて、月に1回以上開催します。
産業医の訪問が始まると同時に衛生委員会のメンバー選定・開設を行うこともできますが、産業医訪問前に事前にメンバー選出と0回目の委員会を行い、今後衛生委員会として何を目指していくのか、どういった議題を扱うのか、方針のすり合わせを行っていくことがスムーズな衛生管理体制構築においては重要です。

③ 健康診断の個人票は回収できていますか?

皆さん、健康診断は受けて終わり!でないとご存知でしたか。
全員が受診した後、「定期健康診断結果報告書」を作成し、労働基準監督署に提出しなくてはいけないのです。
しかし意外なことに、従業員に健康診断を受診させているものの、会社でその結果を回収できていないということが実際に起こっています。
初めて衛生管理者となった方も、これまでは受けるだけの側だったので、結果がどう回収されているかは把握できていないのではないでしょうか?
まずは全体の受診率や個人結果票、健診機関からの報告書が届いているか確認をしてみてください。
この把握を行わないと、年に1回労働基準監督署へ提出する「定期健康診断結果報告書」を作成することができません!

④ 残業時間の集計を行いましょう

産業医には、残業時間の多い従業員や、ストレスチェックで高ストレス者判定の出た従業員の面接指導や健康相談を引き受けてもらうことになります。
そういった際、対象従業員の勤務情報が必要です。
少なくとも直近の残業時間が把握できるようにはしておきたいところですね。
また、特に長時間残業に関しては脳・心疾患や精神疾患の原因となるおそれがあることから、衛生委員会の議題としても盛り込みましょう。

⑤ 適切な面談スペースと保管場所のご用意を

産業医との面談内容は誰にも知られたくないもの……。
健康に関する情報は「機微な個人情報」です。
従業員が産業医面談を行うに際しては、面談場所の確保も欠かせません。
プライバシーが守られ、声が漏れないような場所を用意し、対象者が安心して面接指導を受けられる環境を整えましょう。
また、面接指導を受けると産業医より意見書や報告書が作成されます。
そういった書面や健康診断結果は、衛生管理者と産業医だけが使用できる鍵付きキャビネットなどに保管することが必要です。

準備が整ったら、いざ産業医の選任へ

ここまでの準備ができて、ようやく産業医の迎え入れ準備が整いました。
あとは産業医の選定を行い、企業とカラーの合う産業医を選任できれば企業の健康管理が大きく前進することとなります。
もちろん産業医も、医師である前に人ですし、専門分野がありますので、その事業場に「合う産業医」、「合わない産業医」があるので、選任は慎重に行ってください。
企業が健康施策を行っていれば社員のパフォーマンスは向上します。
さらに、その施策を社員へアピールすればより効果が現れます。
しかし「労基署対策のために産業医を選任しているだけでしょ」と社員にみなされてしまうと、パフォーマンスは低下し、企業の求心力も著しく下がる可能性があります。
企業の財産は社員であり、社員がいなければ会社が動くことも、企業活動を行うこともできません。
「50名を超えたから産業医の選任を」ではなく、「会社の人数が増えたので、健康管理がより重要となってくる」と捉えて産業医や衛生管理者の選任、衛生委員会の運営を行っていただければと思います。

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