働き方・産業保健

職場でのストレス要因は?対策のカギは上司と相談窓口!

働くうえでストレスは避けられません。
しかし、職場でのストレスを放置すると、従業員だけでなく事業者にも悪影響を及ぼします。この記事では、職場でのストレス要因とその対策について解説します。

職場でのストレス対策は必須

職場でのストレス対策は企業運営を行ううえで必要不可欠です。
従業員のストレスを放置すれば精神疾患を発症する可能性があり、離職や休職につながるだけでなく、その後のライフプランにも大きな影響を与えます。
また、高ストレス者の増加は生産性の低下や事故の多発など、企業を運営するうえで無視できない問題にもつながりかねません。
そのため、従業員を守るためにも、企業運営を安定させるためにも、職場でのストレス対策は必ず行う必要があります。

職場で高ストレス者が増加した場合の影響

では、職場で高ストレス者が増加すると具体的にどんな影響があるのでしょうか。

生産性の低下

ストレスによりメンタルヘルス不調が起こると、やる気や集中力が減退し、生産性が低下していきます。
それだけでなく、ストレス対策を講じないまま放置すれば、やがて休職や離職につながり、人員不足に陥りかねません。

さらに、休職者や離職者が担っていた業務を残った従業員で行わなくてはならず、一人ひとり業務量が増加します。
業務量が増えると心身が疲労してストレスが蓄積することで、さらにメンタルへルス不調者を生み出す結果となり、最悪の場合、企業運営もままならなくなるかもしれません。

事故やトラブルの増加

メンタルヘルス不調は集中力や注意力の低下を招くため、重大な事故を引き起こす可能性があります。
とくに、工場や作業現場での業務は大型の機器を操作や高所での作業も多く、些細な不注意が取り返しのつかない大事故になりかねません。
こうした事故を防ぎ、従業員の命を守るためにもストレス対策は重要な役割を担います。
また、企業にとってもストレス対策を怠り重大な事故が起こった場合、安全配慮義務違反となり、多額の賠償金が発生する可能性があります。

労働者の安全への配慮)
第5条 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。
出所:労働契約法

職場で考えられるストレス要因

ストレス対策を考える前に、まずは職場でのストレス要因について知っておく必要があります。
2022年に厚生労働省から発表された「労働安全衛生調査」内で示されている、正社員が抱えるストレス要因の上位は以下のとおりです。

・仕事の量
・仕事の失敗・責任の発生
・仕事の質
・対人関係

それぞれ詳しく解説します。

仕事の量

業務量の過多は身体の疲労だけではなく、精神面も疲弊させます。
毎日の業務によって残業が増えて休憩もとれないような状況は、従業員のストレス要因となり、メンタルヘルス不調へと直結するでしょう。
また、単純な疲労だけでなく、業務が終わらないことへの焦燥感や業務の偏りによる不公平感も大きなストレス要因となります。

仕事の失敗・責任の発生

仕事で大きな失敗をしてしまったり、失敗を許されない状況に晒されたりすることもストレス要因となります。
失敗によって「ほかの人に迷惑をかけてしまうかもしれない」というプレッシャーや、実際に失敗をしてしまって「迷惑をかけて申し訳ない」という罪悪感が、従業員のメンタルヘルスを悪化させます。
とくに、優秀な人材ほど責任感が強い場合が多く、このストレスを抱えがちです。

一方で、一定の責任感は自己効力感を向上させワーク・エンゲイジメントにつながるため、責任のある仕事を任せるときには、従業員の様子を注意深く観察しながら徐々に進めていく必要があるでしょう。

仕事の質

仕事が従業員の性質にあっているのかも重要な要素です。
自分が苦手とする業務に従事していると、モチベーションの低下を招き、ストレス要因のひとつとなるでしょう。
1on1ミーティングなどを行い、従業員の持っている資質をいち早くつかみ、適切な配置を行うことで、ストレス要因を減らすだけでなく、より精力的に仕事に取り組んでくれます。
しかし、現時点では苦手な仕事でも、本人が希望しており、モチベーション高く取り組む姿勢があれば、必ずしも配置転換などを行う必要はありません。

対人関係

職場での対人関係もストレス要因のひとつです。
多くの時間を過ごす職場での対人関係はメンタルヘルスに大きく影響します。
厚生労働省が2022年に発表した「令和3年雇用動向調査結果の概況」によると、転職入職者が前職を辞めた理由の第1位が「職場の人間関係が好ましくなかった」でした。
つまり、対人関係は離職につながりやすく、それだけ大きいストレス要因であることがわかります。

職場でできるストレス対策は?

ここまでは、職場で考えられるストレス要因についてお伝えしてきましたが、実際にはどんな対策を行う必要があるのでしょうか。
具体的なストレス対策について紹介します。

ストレスチェック・集団分析

ストレスチェックは職場でできるストレス対策において非常に重要です。

【保健師監修】ストレスチェック制度とは?導入の流れや実施方法について

目に見えないストレスは本人も気がつかない間に蓄積して、身体と心に影響を与えます。
ストレスチェックは、自身でも気がついていないストレスについて自覚的になることで、セルフケアを促し、メンタルヘルス不調の未然予防につながるため、非常に有効なストレス対策となります。

また、集団分析も非常に重要です。
集団分析ではストレスチェックの結果を部署や年齢層、性別などの集団ごとに分析し、ストレス傾向を目に見える数値にしていきます。

【保健師監修】ストレスチェックの集団分析とは?集計・評価方法や活用のしかた

集団分析によって、部署ごとに抱えているストレス要因があきらかになり、職場環境の改善につなげていくことができます。
職場環境の改善によって、職場のストレス要因を減らすことができるため、ストレスチェックと集団分析は必ずセットで実施しましょう。

ラインケアセミナーの実施

ストレス対策において、上司は非常に大きな役割を果たします。
前述のとおり、ストレスを自分で把握するのは難しいため、部下の様子をつぶさに観察し、少しでも変わったところがみられたら声掛けするなど、上司の働きはなくてはならないものです。
こうした部長や課長などの管理監督者が主体となって進めていくメンタルヘルスケアを「ラインケア」とよびます。
管理監督者が自分の部下に対して効果的な声掛けなどを実施できるように、有識者を招いてラインケアセミナーを実施することは、有効なストレス対策となるでしょう。

一方で、あやふやな知識だけでラインセミナーを実施すると、部下のストレスがより悪化する事態を招きかねないため注意が必要です。

相談窓口の整備

相談窓口の設置も非常に重要です。
従業員がストレスによって追い詰められたときに、誰かに相談できる体制を整えておけば、適切な対応につなげることができます。
この際に重要なのが、会社の内だけでなく外部にも相談窓口を設置することです。
会社の内部の相談窓口だけだと、「会社の人にバレたらどうしよう……」と考えて相談をためらう人もいるためです。

ドクタートラストでは産業医連携型の外部相談窓口サービスである「アンリ」を提供しています。
保健師や精神保健福祉士、公認心理師、保育士などの国家資格所有者が直接相談に対応し、本人が希望すれば直接産業医につなげることも可能です。

職場全体のストレス低下に向けて

「さんぽみち」運営元であるドクタートラストでは、上述したストレスチェック・集団分析の実施やラインケアセミナーの実施、外部相談窓口サービスの提供など、企業で行うストレス対策の多くをサポートできます。
とくに、ストレスチェックは全国トップクラスの受検者数を誇り、総受検者数163万人のビッグデータを使用した集団分析も無料で提供しています。
ストレスチェックと正確な集団分析は、職場全体のストレス低下に直結するため、ぜひ一度ご相談ください。

<参考>
厚生労働省「令和3年労働安全衛生調査(実態調査) 結果の概要」
厚生労働省「令和3年雇用動向調査結果の概況」