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【保健師監修】仕事のストレスが原因で休職したいと言われたら?休職の流れやリワーク支援について

仕事のストレスが原因で休職したいと言われたら?休職の流れやリワーク支援について
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仕事のストレスが原因で休職を申し出た従業員に対して、会社はどのように対応すべきでしょうか。
休職の判断をする際には、主治医の診断書だけでなく、産業医による判断が重要です。

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今回は、ストレスによる休職の対応とその後の流れについて解説します。

仕事や職場におけるストレスの実態

厚生労働省の「平成30年 労働安全基礎調査」によると、現在の仕事や職業生活に関して、強いストレスを感じている労働者の割合は58.0%であり、半数を超える労働者がさまざまなストレス要因を抱えて働いていることがわかります。
こうした強いストレスを放置すれば、うつ病や適応障害といった疾患の原因となるため、ストレスチェック制度の導入や相談窓口の整備などの早期発見への取り組みが重要です。

仕事のストレスが原因で休職するときの流れ

仕事のストレスが原因か否かに関わらず、休職を判断する際には、主治医からの診断書だけでなく産業医の面談も実施するのが望ましいでしょう。
主治医の診断書には、従業員の希望が反映されている場合が多く、業務内容や職場環境まで把握している産業医による判断のほうが優先されるためです
休職が決定したあとの流れについても見ていきましょう。

休職期間の決め方

実際に休職期間を決定する際には以下の点を考慮する必要があります。

・主治医の診断書
・産業医の意見
・勤続年数
・傷病手当金の支給期間

具体的な決め方として、はじめから長期の休職期間を設定すると労働者の経済的なリスクが増してしまうため、まずは2ヶ月ほどに設定し、必要に応じて延長していく方法が一般的です。
休職について細かく定義された法律はないため、事前に休職期間について取り決めをおこない、各企業がそれぞれのルールのなかで運用していく必要があります。

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休職中の給与や社会保険負担はどうするか

基本的に休職中の就業員に対して給与の支払い義務はありません
ストレスが原因の休職の場合、病気と認められれば傷病手当金の需給が可能なので、従業員に対して情報の周知をおこない、不安感の解消に努めましょう。

また、休職期間でも社会保険料は免除されません
通常であれば社会保険料は給与から支払われますが、休職期間は給与自体がないため、従業員からの振り込みや企業側の建て替えなどの方法で社会保険料の支払いをおこなう必要があります。
休職中の給与や社会保険料の徴収方法などについても、事前に取り決めをおこない、就業規則に明示しておく必要があります。

休職期間中の過ごし方

休職期間中にも従業員とコミュニケーションをとり続けましょう。
休職期間だからといって、コンタクトを取らずに放置すれば、従業員は疎外感を感じモチベーションが低下、復職の遅れにつながります。
しかし、過度な連絡も従業員にストレスを与える可能性はあるため、事前に連絡方法や頻度を決めておき、適度なコミュニケーションを維持するのが望ましいでしょう。

産業医や産業保健スタッフと連携したリワーク支援とは

リワーク支援とは、ストレスをはじめとするメンタルヘルス不調により休職した従業員に対する復職支援の総称です。
メンタルヘルス不調は見た目で完治が判断しにくく、本人が治ったと思ってもすぐに再発してしまうケースが少なくないため、リワーク支援をおこなうことで、安定した就労の継続を目指します。
リワーク支援の目標として以下のものがあります。

・自己洞察
・コミュニケーション能力の回復
・基礎体力の回復
・集中力の維持
・症状の自己管理

上記の目標をディベートや集団プログラム、認知行動療法などを併用しながら達成をめざします。

そのためには、産業医や産業保健師の専門的な知識が必要不可欠であり、産業保健スタッフと主治医、企業、家族、そして本人が一丸となって問題へ取り組む姿勢が必要です。

リワーク支援の内容

実際のリワーク支援には5つのステップが存在します。

出所:厚生労働省「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」

<第1ステップ>では従業員が病気の治療に専念できるように、傷病手当金などの経済的な補償や相談窓口の整備、休職中の連絡方法の決定などをおこないましょう。大切なのは従業員とコミュニケーションを取りながら進めていくことです。

従業員から復職の意思が伝えられたら、<第2ステップ>の主治医による職場復帰可能の判断が必要になります。
主治医は従業員の希望を反映している場合が多く、業務内容を加味した判断ではないため、最終的な判断は産業医による面談をとおして、職場で必要とされる業務遂行能力が回復しているかを判断するのが望ましいでしょう。

主治医と産業医が復職可能と判断すれば<第3ステップ>に移ります。
職場復帰の可否については以下の記事で詳しく紹介しています。

産業医が復職を認めないケースとは?5つの判断基準

職場復帰が可能と判断されれば、職場復帰支援プランの作成をおこないましょう。
具体的な復職日や試し出勤制度の利用、時短勤務、配置転換などの検討をおこない、できるだけ従業員がスムーズに職場復帰できるような支援を目指します。

職場復帰支援プランが固まったら、<第4ステップ>の最終的な職場復帰の決定が事業者によっておこなわれます。
最終決定の前に、従業員に対して職場復帰支援プランの共有を必ずしておきましょう。

無事に復職できたとしても、それで終わりではありません。
リワーク支援の目的は安定した就労の継続であり、そのためには<第5ステップ>の職場復帰後のフォローアップが最も重要です。
管理監督者による観察や本人からの意見をもとに、職場復帰支援プランの見直しをおこない、半年から1年をかけて本来の業務へとゆっくりと戻していきます。

リワークプログラムの事例

営業成績が優秀だった社員が転勤を機に成績が落ち込んでしまい、プレッシャーからうつ病を発症した事例です。

この社員はうつ病の診断後も抗うつ剤を服用しながら業務を継続したものの、1ヶ月たっても症状は改善せずに休職。3ヶ月の休職期間で症状は改善したため、リワーク支援に切り替えました。
週5日間支援センターに通った結果、規則正しい生活リズムが作られ、支援センターに通う休業中の事業者と話す機会を得たことで、症状が一気に改善し、6ヶ月の短時間勤務を経て、通常勤務へと復帰しました。

会社として準備しておくことは

今回は、仕事のストレスが原因による休職の流れとリワーク支援についてわかりやすく解説しました。
メンタルヘルス対策を徹底していても、休職者がでることは避けられません。
休職を事前に想定して、細やかな職場復帰支援プランを準備しておくことが重要です。
「さんぽみち」運営元のドクタートラストは、休職・復職判定や職場復帰支援プラン作成において重要な役割を担う産業医や産業保健師の選任サポートをおこなっています。
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<参考>
厚生労働省「平成30年 労働安全基礎調査」
独立行政法人労働者健康福祉機構 産業保健21「休職から復職における産業保健職のかかわり方」
厚生労働省「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」