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メンタルヘルスという言葉の意味や定義を改めて考える機会はなかなかありませんよね。
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今回は、メンタルヘルスという言葉の意味や定義を押さえながら、職場のメンタルヘルスケアの必要性についてわかりやすく解説します。
目次
メンタルヘルスってどんな意味?
メンタルヘルスとは何か、その言葉をご存知でしょうか?
メンタルヘルスと言われても、その言葉が独り歩きをしていて、明確な意味を考えずに飛び交っている印象を持たれている方もいるかもしれません。
メンタルヘルスについて正しい理解を深めるためには、正確な知識を身につけることが大切です。まずは言葉の意味からおさらいしましょう。
メンタルヘルスとは
メンタルヘルスは、厚生労働省の「労働者の心の健康保持増進のための指針」において「ストレスや強い悩み、不安など、労働者の心身の健康、社会生活及び生活の質に影響を与える可能性のある精神的及び行動上の問題を幅広く含むもの」と定義が示されています。
つまり、人の心身の健康や生活に影響を及ぼす何らかの問題のことを表すのですが、とても広い定義を持っているため、さまざまな視座で考える必要があるとわかります。
メンタルヘルス不調の兆候
メンタルヘルスが不調に陥る、つまり心身に起こる何らかの問題に悩まされる状態になると、こころが次のようなサインを発してストレス状態であることを教えてくれます。
・怒りっぽくなる
・食欲が減ったり増えたりする
・睡眠の質が悪くなる
・お酒の量が増える
こころのサインに気づいた際は、厚生労働省「こころの耳」も参照しながら、自身のメンタルヘルスの状態に注目してみましょう。
参考:厚生労働省「こころの耳」
メンタルヘルスの不調が引き起こす精神疾患とは?
メンタルヘルス不調を放置すればさまざま精神疾患を引き起こします。
ここでは、具体的なメンタルヘルス不調が引き起こす精神疾患について解説します。
うつ病
メンタルヘルスの不調が引き起こす代表的な精神疾患がうつ病です。
うつ病が発症すると気分が激しく落ち込むため、趣味などを楽しめなくなり、抑うつ状態が続きます。
抑うつ状態がすぐに解消すれば問題ありませんが、2週間以上気分の回復が見られない場合はうつ病と診断されます。
うつ病は睡眠障害や食欲不振、体力の低下などを引き起こし、私生活に大きな影響を与えます。
パニック障害(不安障害)
パニック障害もメンタルヘルス不調が引き起こす精神疾患であり、なにかしらのきっかけで不安な気持ちが抑えられなくなりパニックを起こしてしまう不安障害の一種です。
パニック障害ではめまいや動悸、発汗、呼吸困難、イライラ、興奮、倦怠感などの症状があらわれます。
たとえば満員電車など、パニック障害が起こりやすい代表的なシチュエーションもありますが、人それぞれ発作が起きるタイミングが違うため、「いつ発作が起こるかわからない……」という恐怖から精神的に不安定になりがちです。
適応障害
適応障害はうつ病とよく似た精神障害です。
日常のストレス原因が引き金となり、抑うつ状態を引き起こし不安感や怒り、神経過敏、めまい、発汗が起こります。
また、暴言や暴力など、ストレスから攻撃的な行動をとってしまう場合もあります。
うつ病と異なるのは、ストレス原因から離れると症状が落ち着く点です。
睡眠障害
睡眠障害は睡眠に関する疾患の総称であり、不眠や日中の眠気、睡眠中の異常行動などがあります。
ストレスによって寝つきが悪い、夜中に何度も起きてしまう、どれだけ寝ても昼間に眠くなってしまうなどの症状が見られる場合、睡眠障害が疑われます。
人間にとって睡眠は非常に重要であり、睡眠に不調があらわれると、そのほかの精神疾患が発症しやすくなるため、注意が必要な疾患です。
依存症
メンタルヘルス不調によって精神が不安定になると、アルコールや薬物、特定の行動に依存しやすくなります。
一度依存してしまうと自分の行動を自分でコントロールすることが難しくなるため、仕事や私生活に大きな影響があります。
特に薬物やアルコール、ギャンブルなどへ依存してしまう人は多く、こうしたものへの依存は患者の心と体、人生にとりかえしのつかないダメージを与えます。
メンタルヘルス対策が職場に必要な理由
メンタルヘルスは一人ひとりが管理するもののように思えますが、現代の社会情勢を振り返るとメンタルヘルス対策が職場に求められる理由がわかります。
昨今は、精神障害による労災の申請件数が増加していますよね。
また、自殺者数も減少傾向とは言え、自殺者の約5人に1人が40代という状況は変わりません。
それを踏まえると、職場単位で労働者のメンタルヘルスケアを進める重要性が理解できるのではないでしょうか。
メンタルヘルスケアは必要?
メンタルヘルスケアを、健康診断やがん検診などと同様に注目している人はまだ少ないでしょう。
前述の通り、昨今はメンタルヘルスの認知が徐々に広まりつつありますが、前時代的に根性論で解釈されるケースが後を絶ちません。
そこで続いては、メンタルヘルスケアの必要性についてお話していきます。
メンタルヘルスケアとは
メンタルヘルスとは、先に確認した通り、人の心身の健康や生活に影響を及ぼす何らかの問題のことでしたね。
つまり、メンタルヘルスケアとは、その問題を小さくして影響を最小限のものにしたり、そもそも問題に遭遇しないために先手を打ったりすることを表します。メンタルヘルスにおける転ばぬ先の杖がメンタルヘルスケアです。
メンタルヘルスケアの必要性
メンタルヘルスケアを、日ごろから取り組んでいる「転ばぬ先の杖」と同じように考えてみましょう。
たとえば、風邪をひかないように良く食べ良く眠る、保険に入って医療費の心配を軽減するなど、たくさんの対応がありますね。
メンタルヘルスケアの方法としては、ストレスの処理をする、休職などをしないために適宜休息を取るなどの対処が考えられます。
これらのような取り組みが、大きな問題へ発展することを避けることができるのです。
メンタルヘルスケアにはどんな方法がある?
職場におけるメンタルヘルスケアの方法として、4つのケアを厚生労働省が勧奨しています。
・ セルフケア
・ ラインによるケア
・ 事業場内産業保健スタッフ等によるケア
・ 事業場外資源によるケア
これらはすべて、職場における取り組みが可能なメンタルヘルスケアの方法です。
セルフケアを推奨する
前述のメンタルヘルスケア中でも、最も身近で手軽にできるスキルがセルフケアです。
んの少しのコツを身につけるだけで、労働者一人ひとりが自分のメンタルヘルスケアに取り組むことができます。
セルフケアはインターネットや書籍で手軽に知ることができますが、「さんぽみち」を運営するドクタートラストでも情報サイトを設けておりますのでご参照ください。
職場環境の改善
メンタルヘルスケアを充実させるために、職場環境を改善することはとても有効です。室温などの物質的な環境要因の他、業務フローや従業員教育などの職場体制を見直すなど様々な対策が考えられます。
前述のメンタルヘルスケアの4つのケアでお伝えした「ラインケア」の視点を用いると、管理監督者を中心に職場環境改善に取り組むことができますよ。
産業医の選任
メンタルヘルスケアに産業医は欠かせません。産業医は医学に関する専門的な立場から、労働者の健康管理を心身に渡ってフォローしますが、メンタルヘルスケアという専門性の高い健康管理を行うためにはすべての事業場で産業医を選任することが望ましいものです。
ドクタートラストの産業医サービスでは、小規模事業場限定プランをご用意し、様々な事業場様へご利用いただけるよう体制を整えておりますのでご利用ください。
職場のメンタルヘルス対策における注意点
メンタルヘルスケア対策を職場で行う際は、先述のような4つのケア以外にも、管理監督者が個人的に従業員の相談を受けることもあると思います。
その場合は業務の相談に限らず、プライベートな相談や体調の相談など多岐にわたるのではないでしょうか。
自分の価値観と異なる話であると、判断にも迷ってしまいますよね。
管理監督者が従業員から個別に相談をもらった際の対応の仕方としては、まずは管理監督者が一人で抱え込まないということが大切です。
自分を頼って相談されると真摯に対応しなければならないという責務を感じやすいため、一人で抱え込んでしまうことが珍しくありません。
専門性の高い話や、判断に迷う内容であるときは、産業保健スタッフなどと協力し、事業場内で対処できないものだと判断した際は、医療機関を勧めるなどして対応していきましょう。
まとめ
メンタルヘルスケアは専門性の高いケアですので、正しい知識を研修などで取り入れ、専門職と積極的に協力することが効果的です。
ドクタートラストでは無料セミナーを始め、企業様に応じた有料セミナーも設けております。些細なことで構いませんので、ご質問等ございましたらお気兼ねなくお問い合わせください。