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産業医が働き方改革の要となる理由は「外部コンサルタント」の視点にあった~産業医の歴史と重要性~

産業医が働き方改革の要となる理由は「外部コンサルタント」の視点にあった

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事業場の従業員数が50人を超えると産業医の選任義務が生じるのは、多くの方がご存じでしょう。
しかし最近では従業員数30人程度で、産業医の選任義務のない事業場でも、産業医の導入を検討するところが増えてきました。
この背景には働き方改革があります。
今回は、産業医の歴史を振り返りながら、産業医の重要性をわかりやすく解説します。

産業医の歴史~はじまりは工場医~

そもそも産業医とは、労働基準法の前身である工場法によって定められた「工場医」が先駆け的存在だとされています。
工場法とは、特定の工場に限られて適用され、児童・女子の保護を主な目的としたものであり、工場医は工場内にて勤務し、診療を行うことを業務としていました。
その後、労働安全衛生法が施行され、1972年には産業医の選任が義務化、1996年には産業医の要件が盛り込まれました。
このような変遷を経て、専門性が高く、幅広い対応が迫られる、現在の産業医が確立したのです。

産業医制度の変遷

産業医制度の歴史的変遷は具体的には以下のとおりです。
徐々に職務が増え、選任義務が厳しくなっているのがわかります。

1938(昭和13)年 常時500人以上職工のいる事業場で工場医の選任を義務づける(工場法)
1940(昭和15)年 工場法改正のより「常時500人以上」が「常時100人以上に変更
1947(昭和22)年 従業員数常時30人以上の製造業、または従業員数常時50人以上のすべての事業場で、医師である衛生管理者の選任を義務づける。常時1,000人以上の事業場では専属(労働基準法)
1972(昭和47年) 常時50人以上の事業場に産業医の選任を義務づける。常時1,000人以上の事業場または一定の有害業務に常時500人以上の労働者を従事させる事業場は専属、常時3,000人以上の事業場は2人以上選任。(労働安全衛生法)
1988(昭和63)年 産業医の職務に、健診結果にもとづく措置、健康教育、健康相談が追加
1996(平成8)年 産業医になるための要件が定められる。常時50人未満事業場で、健康管理等を行うのに必要な知識を有する医師などに健康管理を行わせるよう努めることとされた
2005(平成17)年 産業医の職務に、面接指導などが追加
2015(平成27)年 産業医の職務に、ストレスチェックの実施など追加

現在の産業医の要件

現在、産業医になるためには医師免許を持っているのみならず、以下の要件のうちどれかを満たす必要があります。

(1) 産業医研修の修了者。 日本医師会認定の産業医学基礎研修と産業医科大学の産業医学基本講座があります。
(2) 労働衛生コンサルタント試験(試験区分保健衛生)合格者。
(3) 大学において労働衛生を担当する教授、助教授、常勤講師の職にある者、またはあった者。
(4) 産業医科大学などで所定の過程を修めて卒業し、その大学が行う実習を履修した者。

法定要件を満たすだけでは、もはや不十分

現在の産業医の主な役割は、「働き方改革」の後押しもあって、メンタル不調者の面談対応や復職の判断、衛生委員会への参加など、法的な側面や、必要に迫られての対応が多いように感じられます。
これらの業務がおざなりになってはいけないのはもちろんのことですが、そもそも労働者の健康障害を予防することが「産業保健・産業医」の目的であると考えると、果たしてこのままでよいのか、疑問符が付きます。

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なぜ法定要件に終始しているのか?

もっとも、これは産業医の力不足や怠慢ではなく、本来は、不調者等が発生しないような組織づくりを企業が主体的に取り組むべきところ、産業保健分野は後回しにされがちで「義務となっているから」との理由で産業医を導入する事業場が多いことが原因だといえるのではないでしょうか。
そしてそのような企業では「予防」にパワーが回らず、毎月のルーチンを淡々とこなし、問題が生じた際のみ面談を行うことに終始してしまうのです。

客観的な視点から判断できる外部コンサルタント

さて、ここまでが現在の産業医に多く求められているであろう内容です。
ようやく冒頭の話に戻りますが、最近では選任義務に満たない規模でも産業医を必要としている事業場が増えています。
この背景については、メンタル・フィジカル面の対応というケースもありますが、将来的な成長に備え、早い段階から従業員の健康管理を行い、生産性を上げようという健康経営の考え方にほかなりません。
つまり、本来産業医を導入する目的であった予防という観点に加え、企業が成長するために必要な健康施策をアドバイスするコンサルタントのような立場が求められているといえるでしょう。
2019年4月に施行された働き方改革法では、産業保健機能の強化も謳われており、産業医そのもののあり方が問われる時代に突入します。
また、産業保健機能だけでなく、働き方改革を含めた健康経営全般について焦点があてられることとなるでしょう。

働き方改革コンサルタントとしての産業医

これらを鑑みると、これからの産業医は健康経営に敏感で、自ら主体的に発信ができることが求められていくと考えられます。
企業でも産業医を選任するに際しては「働き方改革」の視点から積極的に関与できるかどうかを重視することになると思われます。
もはや時代は「産業医を選任しさえすれば法律違反にならない」という状況ではなく、「産業医をどのように活用していくのか」を考え、「働き方改革の外部コンサルタントの担い手」とみなす必要がありますが、産業医資格を持っている医師が必ずしも役割を担えるとは限りません。

産業医資格の有無だけでは判断できない

産業医としての能力に加えて、得意とする専門分野、事業場との相性など、鑑みるポイントはいくつもあります。
50名以上の事業場ですでに産業医を選任しているのであれば、その医師に「働き方改革の外部コンサルタント」を引き受けてもらうことが理想ですが、もし難しそうな場合は、産業医の交代も視野に入れたほうがいいかもしれません。

理想の産業医を探したいときは

また、産業医を新たに選任しなおす場合は、多くの登録医師から選ぶことのできる紹介会社の利用が望ましいでしょう。
「さんぽみち」を運営しているドクタートラストでは、各事業場のご要望、相性に沿った産業医を紹介することが可能です。
その事業場で産業医として働きたい!という立候補者を募り、そのなかから選んでいただくことができます。
選考に際しては、これまでの経歴などを書類上で確認するのみでなく、実際に面接をして人柄を見ていただいています。