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メンタルヘルス

【保健師監修】ワーク・エンゲイジメントとは?効果と高める方法を解説!

日本企業のあいだで「ワーク・エンゲイジメント」という言葉が注目されています。
ワーク・エンゲイジメントを高めることは、労働者のメンタルヘルスを守るだけでなく、業務の生産性向上につながるでしょう。
この記事では、ワーク・エンゲイジメントの効果と高める方法について解説していきます。

ワーク・エンゲイジメントとは?

ワーク・エンゲイジメントとは、仕事に対しての「熱意」「没頭」「活力」が揃っていて充実して取り組めている状態を指します。
オランダの大学教授であるウィルマーB・シャウフェリによってワーク・エンゲイジメントは提唱され、以下のように定義されています。

ワーク・エンゲイジメントは、仕事に関連するポジティブで充実した心理状態であり、活力、熱意、没頭によって特徴づけられる。エンゲイジメントは、特定の対象、出来事、個人、行動などに向けられた一時的な状態ではなく、仕事に向けられた持続的かつ全般的な感情と認知である
出所:日本職業・災害医学会会誌第63巻第4号「ワーク・エンゲイジメントに注目した個人と組織の活性化」

ワーク・エンゲイジメントの特徴として、特定の出来事や人物、行動などに向けられた一時的な状態ではなく、仕事に向けられた持続的で全般的な感情や状態である点があげられます。
つまり、個人や出来事にある程度左右されるものの、基本的には「仕事に対して充実して取り組めているか」そのものを判断するための概念です。

ワーク・エンゲイジメントと関連する概念

ワーク・エンゲイジメントをより明確に理解するためには、関係性のある概念を頭に入れておきましょう。
「バーンアウト」はワーク・エンゲイジメントと対極にあり、いわゆる燃え尽き状態を指す概念で、仕事への興味や関心、自信を失っており、活動水準が低い状態です。
ほかにも、仕事への興味や関心と活動水準の高低によって、「ワーカホリズム」「職務満足感」という概念が存在します。
それぞれのワーク・エンゲイジメントに関連する概念の分布を整理したのが下記の図です。

ワーク・エンゲイジメントを把握する方法について

ワーク・エンゲイジメントは目に見えるものではないため、事業場で測定を行い数値化する必要があります。
ワーク・エンゲイジメントを把握する方法は主に4つです。

MBI-GS

MBI-GSとは「Maslach Burnout Inventory-General Survey」の頭文字をとったものであり、ワーク・エンゲイジメントを測定するのではなく、バーンアウトの数値を測定します。
つまりMBI-GSの数値が低ければワーク・エンゲイジメントが高く、逆に高ければワーク・エンゲイジメントが低い状態です。
具体的には「疲労感」「冷笑的態度」「職務効力感」の3つの尺度について、16問の質問に回答することで測定します。

OLBI

OLBI(Oldenburg Burnout Inventory)もMBI-GSと同じく、バーンアウトの数値を測るものです。
尺度は「疲労感」と「冷笑的態度」の2つに絞られ、それぞれネガティブ項目とポジティブ項目に分かれた設問に回答することで、ワーク・エンゲイジメントを測定します。

UWES

UWES(Utrecht Work Engagement Scales)は前述の2種類の測定方法とは異なり、純粋にワーク・エンゲイジメントを測定する方法です。
具体的には、「活力」「熱意」「没頭」の3つの尺度について、17問の質問に回答します。
ワーク・エンゲイジメントの測り方としては最も一般的であり、高い安定性を誇ります。

ストレスチェック

ストレスチェックの項目にワーク・エンゲイジメントの尺度を含めることが可能です。
ストレスチェックには57問版と80問版があり、この80問版には従来の尺度に加えて、ワーク・エンゲイジメント(働きがい)やハラスメント、上司のマネジメントに関する尺度が加えられています。

現在50人以上の事業場ではストレスチェックの実施が義務となっているため、設問数を増やすだけでワーク・エンゲイジメントを測定できるストレスチェックは、最も手軽なワーク・エンゲイジメント測定方法と言っていいでしょう。

【保健師監修】全設問公開!ストレスチェックの項目とは?57項目、23項目、80項目の違い

ワーク・エンゲイジメントを高める方法とは?

具体的にワーク・エンゲイジメントを高めていくためには以下の要因が必要です。

・仕事の負担を減らす
・仕事に対する心理的なストレスを軽減する
・モチベーションを上げる。

そして、この要因を満たすためには仕事面と個人面での両方からのアプローチが欠かせません。
ここでは、仕事面と個人面の具体的な資源について解説します。

仕事の資源

企業側が充実させるべき「仕事の資源」には以下のものがあります。

・上司や同僚からのサポート
・トレーニングの機会
・裁量権
・仕事に対する丁寧なフィードバック

こうした要因は仕事の負担を減らすだけでなく、労働者に働きがいを与えます。
企業としてはこうした取り組みを通じて、職場環境を整備し、一人ひとりのワーク・エンゲイジメントを高めていく姿勢が必要です。

個人の資源

ワーク・エンゲイジメントの向上には、周囲からの外的要因に頼るだけでなく、内的要因も必要です。
具体的な「個人の資源」には以下のものがあります。

・自己効力感
・組織での自尊心
・仕事に対する楽観性

個人の考え方を変えていくのは難しいですが、物事の捉え方を変えるだけでワーク・エンゲイジメントは飛躍的に上昇します。

低いワーク・エンゲイジメントはなにより自分自身を苦しめます。
自分の仕事に対して誇りや自信を持てるように自分の考え方を変えていくと、ワーク・エンゲイジメントが高まり、満足感や充足感、幸福感を得ることができるでしょう。

ワーク・エンゲイジメントを高めることで得られる効果

ワーク・エンゲイジメントはぼんやりとした概念と思われがちですが、高めていくことではっきりとした効果が期待できます。
ここではワーク・エンゲイジメントを高めることで得られる具体的なメリットについて説明します。

メンタルヘルス対策

ワーク・エンゲイジメントを高めることは、そのままメンタルヘルス対策になります
ワーク・エンゲイジメントが高い労働者は、自分の仕事に対して興味や関心、自信を持っており、充実して仕事に取り組んでいるためストレスが非常に少ない状態です。
つまり、労働者のワーク・エンゲイジメント向上は、メンタルヘルス問題の引き金となるストレスの抑制につながるため、非常に優秀な1次予防になります

離職率の低下

ワーク・エンゲイジメントが向上すれば、離職率が低下していくでしょう
ワーク・エンゲイジメントの高い事業場では、多くの人が自分の仕事に誇りをもって高い活動水準で活躍しています。
自分の仕事に対して不満を持つ労働者が少ないため、必然的に離職率も低下していくでしょう。
離職者の代わりに新たな人材を採用し教育を行うコストを削減できるので、企業にとって大きなプラスとなります。

生産性・パフォーマンスの向上

ワーク・エンゲイジメントが高い状態とは、労働者が受動的ではなく主体的に業務に取り組んでいる状態を示します。
つまり、やらされているのではなく「自分から仕事に取り組んでいる」ので、仕事に対してポジティブであり、能動的な取り組みと高いコミットメントが期待できるでしょう
また、仕事に対する高い興味と関心、自信は高い成長意欲につながるため、自己研鑽にも前向きに取り組む労働者が増え、企業全体のパフォーマンスが向上していきます。

まとめ

働き方改革に伴ってワーク・エンゲイジメントが注目されています。
しかし、ワーク・エンゲイジメントを深く知らないまま「高めなくてはいけないもの」「気にしなくてはいけない数値」という印象しか持っていない事業者が多いのも事実です。
たしかにワーク・エンゲイジメントは目に見えませんが、ストレスチェックなどで数値化して、向上させる取り組みを実施することで、はっきりと目に見える効果が期待できます。
「さんぽみち」運営元であるドクタートラストは、ストレスチェックの実施サポートを提供しており、独自の集団分析によってワーク・エンゲイジメントについても測ることが可能です。
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